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水やりはいつまで必要?庭木を植えてから根付くまでの期間について

庭づくり

庭木を植え付けた後に重要となる管理は何と言っても水やりです。水が切れると木が弱ってしまい、最悪の場合には枯れてしまいます。でも庭木って水やりしなくても育っているイメージがありますよね。これは大地にしっかり根を伸ばし根付いているからです。「根付く」とは一体どのような状態になっているのでしょうか。今回のテーマは「根付く」と「水やり」です。

この記事は以下の方におすすめです。

  • 植物が根付く仕組みを知りたい。
  • 庭木を植えた後、いつまで水やりが必要か知りたい。
  • 根付いたかどうか判断するにはどうしたら良い?

植えたばかりの植物が根付いて生長を始める事を活着(かっちゃく)と言います。庭木の場合、水やりが不要になるまでには早くても1年支柱が不要になるまでには3~5年程度かかります。私は造園の仕事で10年以上に渡ってたくさんの樹木を植え、活着までの様子を見てきました。その経験も踏まえて、植物を植えてから根付くまでの期間と水やりについて解説します。

活着の仕組み

木の根

「根付く」とはどんな状態か

植物にとって、植え付けや移植はとても負担の大きい状態です。植えた直後の樹木は、掘り取りの都合で根が減っているので、水の吸い上げと葉による蒸散のバランスが崩れた状態です。通常であれば耐えられる土の乾燥具合であっても、吸い上げる水分が不足して枯れてしまいます。また、体を支えるための根「支持根(しじこん)」が無いので、強風で簡単に倒れてしまいます。根付くまでの間は水やりと支柱が必要になります。

根付いた(=活着した)状態は、新たな根を伸ばして水の吸収能力が回復し、枝葉の生長を再開した上で、樹体を支える支持根(しじこん)を取り戻した時を指します。

植物が根付くまでの流れ

活着は以下のように段階を分けて考えることができます。

  1. 細根を再生して水を吸い上げ、生命を維持する
  2. 枝葉の成長を再開する
  3. 支持根を形成し、枝葉の成長量が標準に戻る

細根を再生して水を吸い上げ、生命を維持する

植え付けられた樹木は、根の再生を開始します。本来であれば枝と根の生長量は比例していてバランスを保ちながら成長しますが、根が切られた状態では枝の生長に回す養分をカットし、根の回復を優先します。残っている根を起点に新たな根を増やし、蒸散とのバランスを取り戻していきます。この段階は、なんとか移動に耐えている状態とも言えます。しっかり根を張るまで、地上部の生長が停滞気味となります。一番水が必要な期間です。

枝葉の成長を再開する

水の吸い上げ量が回復してくると、光合成をするための葉を増やし始めます。まだ本調子ではなく、勢いのある枝はほとんど伸びません。多少の乾燥には耐えますが、乾燥の厳しい夏だけは水やりが必要です。

支持根を形成し、枝葉の成長量が標準に戻る

新天地での生活に慣れてきた状態です。本来の調子を取り戻し、勢いの良い枝が伸び始めます。支持根により樹体を支えられるので、支柱も要らなくなります。環境が良ければ多くの樹種は水やりの必要もなくなってきます

植物が根付くまでの期間

苗木

活着までの一般的な期間

樹木は植え付け段階で健全な状態であれば、1年程度で水やりが要らないくらいまで根付きます。切られた根から新たな細根が発生し、水と養分を吸い上げます。

支持根が発達して支柱が不要になるまでは3~5年程度かかります。若木なら植え付け後3年を過ぎると枝が元気よく伸び始め、しっかり根付いた状態となります。

なお、大径木や老木の場合は、移動時に根を多く失っている事が多く、若木よりも再生に時間がかかります。

植える時期による影響

根の生長時期は樹種によって違いますが、平均すると4月~10月です。根付くまでの期間は植え付けた時期によっても変わり、その後の活着や水分の管理に大きく影響します。

例えば、植え付け適期とされる3月頃に植えると、すぐに根の成長期に入るため活着が早まります。根の生長時期をフルに使えるので、秋には良く根が張っています。湿潤な土地であれば、適期に植え付けることで、以後の水やりをしなくても済む場合もあります。

8月に植え付けた場合、根の成長時期に当たりますが、水分の蒸散が激しい時期であり、細かい根の再生が追い付かないと枯れてしまいます。また、春からの生長で前年に蓄えた養分を消費してしまっているため、根の再生に不利になります。

12月に植え付けた場合、翌年の春まで根が再生しない事になります。落葉樹は休眠しているため大きな問題は起こりにくいですが、常緑樹は冬でも水を吸い上げるので、根が回復できず枯れるリスクが高くなります。

植え付けの適期は、根の生長時期と養分、蒸散といった複数の条件が関係しています。特別な事情がない限りは、適期に植え付けることが鉄則になります。

植物の健康状態による影響

病害で活力が低下している木や、植え付ける前に乾燥(水切れ)で弱った木の場合は、回復に時間がかかります。掘り取りから時間が経っている苗は、根の一部が痛んでいることもあり注意が必要です。

根付いたかどうか判断するには

地面の下の様子は見えないので、地上部の状況から判断します。

枝の生長と根の生長は概ね比例します。新芽が生長して新たな枝ができ始めた状態が活着の目安になります。

但し、根付いていない状態でも花や葉を成長させる場合もあるので注意が必要です。この場合は、花瓶に挿した枝のように、樹体に蓄えた養分を使って成長します。極端な例では、伐採後の地面と繋がっていない丸太から芽が生えてくる現象もあるくらいです。

水やりが必要な期間

水やり

1シーズンを乗り切れば良い

植え付け直後は根鉢に含まれる限られた根で水を吸い上げているため、土が湿った状態が必須です。細根の再生が進むと水の吸い上げ量が増え、多少の水不足に耐えられるようになります。樹体の維持とバランスが取れるくらいになれば水やりは不要になります。苗木や若木であれば1シーズンの成長期(4月~10月)を乗り越えれば水やりはほとんど要らなくなります。

最初の夏が勝負

植物は夏になると葉からの蒸散量を増やし、気化熱で暑さに耐えています。この時期は晴れが続いて地面が乾燥しやすいので、水切れに要注意です。逆に、最初の夏さえ乗り切れれば安心と考えても良いでしょう。 春先に植えた木であれば、夏前に細根が再生されて、暑い時期を乗り越えやすいです。夏に植えてしまった場合は水切れしやすいですが、水やりを念入りに行えば活着させる事は可能です。葉を減らして蒸散を抑える、寒冷紗(かんれいしゃ)で一時的に日陰を作る等も有効です。

水は必ずしも毎日やる必要はない

根の周囲にある土が乾燥していなければ水やりは不要です。雨が多い時期は全く不要になります。乾燥しやすい土地の場合は、夏は毎日のように水やりが必要になります。土の渇き具合で水やりの頻度を調整しましょう。

水やりはメリハリが大切

水を与える時はメリハリをつける事が大切です。乾燥してきたら水をたっぷり与え、次に乾燥し始めるるまで放置します。樹木の枝葉が萎れ始めるくらいまでならセーフで、水を与えれば復活します。

水やりは地面に含まれる空気の入れ替えも兼ねています。毎日水を与えてしまうと根の窒息による根腐れを起こす事があり注意が必要です。

条件によって変わる水やり

根巻き苗とコンテナ苗での違い

庭木の流通形態を大きく分けると「根巻き」と「コンテナ苗」の2種類があります。植え付け初期の段階では、根巻き苗の方が水切れしやすいため注意が必要です。

根巻き苗とは

植木の生産地では、そのほとんどが畑に苗木を植えて育てています(露地栽培)。出荷の際は根鉢(根と土が一体となった塊)を掘り取って、麻布で巻いた「根巻き」の状態で流通します。掘り取りの際に根が切られているため、入手後は速やかに植える必要があり、植え付け後も水を切らさないよう注意します。ちなみに根巻き材は地中で自然に分解されるので外さずに植え付けます。無理に取ると根鉢が崩れて活着不良となる事があります。

少し話が逸れますが、造園業で根巻き苗を植える時は、植え付け前に剪定を行って枝と葉を減らします。枝の少ない樹種では葉だけをむしり取る場合もあります。これらは蒸散量を抑えて根とのバランスを取り、枯らさないようにする工夫です。他には蒸散抑制剤(薬品名はグリンナー)を散布して葉をコーティングする事もあります。

コンテナ苗とは

コンテナ苗はポット苗や鉢植えとも呼び、容器に植えられた苗を指します。根が失われていないため枯れにくく、取り扱いが容易です。移植の難しい樹木では有効な流通形態ですが、生産コストや管理の都合で、入手可能な樹木のサイズは小さいもの(概ね3m未満)に限られます。多少の乾燥には耐えてくれるので、根巻き苗に比べて水の管理が楽です。

注意点としては、苗をコンテナに植え付けてから長期間経っていると、ルーピング(根が鉢底で外周に沿ってぐるぐる巻きに伸びている状態)を起こしていて、活着不良になる事があります。この場合は、絡まった根をほぐして広げるか、切って新しい根を出させた方が早く活着します。

樹木の種類による違い

樹木は、樹種によって水分の要求量に差があります。これは生まれ持った特性で、自生地の気候や周辺環境に影響を受けています。乾燥を嫌う植物の場合は、根付くまで入念に水管理を行います。立地によっては根付いた後でも水やりした方が元気に育ちます。

乾燥に弱い樹種

山間部や河川沿いは極端な乾燥が起こりにくい土地です。このような場所に自生する樹木は土壌の乾燥に弱いものがあります。乾きやすい土地で育てる場合、根付いた後でも夏だけは水切れに注意が必要です。例として以下のような樹種があります。

湿地を好む樹種:シダレヤナギ、ネコヤナギ、ギョリュウ

強い乾燥が苦手な樹種:コハウチワカエデ、シャクナゲ、タマアジサイ、ナツツバキ、ヒメシャラ、ミツバツツジ、ヤマアジサイ、ヤマボウシ

乾燥に強い樹種

乾燥地に自生する植物は水切れに強く、葉からの水分の蒸発を抑える能力を持つ事もあります。極端な例はサボテンで、葉を全てトゲに変化させました。また、沿岸地域に自生する樹木も比較的乾燥に強いです。植え付け時は水やりが必要ですが、一度根付いてしまえば、自然の雨だけで育ちます。例として以下のような樹種があります。

特に乾燥に強い樹種:アメリカデイゴ、オリーブ、キミガヨラン、ソテツ、ミモザ、ローズマリー

やや乾燥に強い樹種:ウバメガシ、カイヅカイブキ、ギンバイカ、シャリンバイ、タイム、トベラ、ナワシログミ、ハギ、ハマヒサカキ、ブラシノキ、マサキ、モクビャッコウ、ロシアンオリーブ

植え付け場所による違い

樹木を植える場所によっても水やり頻度が変わります。主な要素は以下の4点です。

  1. 日照
  2. 土質
  3. 地形

日照による影響

日向は日陰に比べて地面からの水分の蒸発量が多く、土が乾きやすくなります。直射日光が長時間当たる場所では、土が乾き過ぎていないかこまめにチェックしましょう。特に午後から夕方にかけて日が当たる場所は地面の温度が上昇して乾きやすいです。

風による影響

風通しは植物の生育に必要ですが、頻繁に強い風が吹く土地では土が乾きやすいです。沿岸地域や、ビルの間等の風抜けの良い場所では注意が必要です。

土質による影響

土質は簡単に表すと土壌の性質のことです。沿岸地域に多い砂質土は水分の保持力が低く乾燥しやすいため、頻繁に水やりが必要になります。粘土質の土壌は保水力が高く水やりは少なくて済みますが、通気性が悪く植物の生育は悪くなります。土壌改良で保水性と通気性のバランスを整えると育ちやすくなります。

地形による影響

土が乾きやすい地形は斜面の上部と擁壁の上です。周囲の地面より高く盛り上げて作った花壇も同様です。逆に乾きにくいのは、斜面の下部や谷間で水が集まりやすくなります。山を背負っている土地は水分が多くなり、水切れの心配は減りますが、過湿による根腐れには注意します。

まとめ

ここまで、樹木の活着と水やりについて解説しました。最後に要点を整理します。

  • 「根付く」とは、細根と支持根の再生
  • 活着までの期間は、水やり不要まで1年、支柱不要まで3~5年
  • 枝葉が勢い良く成長したら根付いたと考えて良い
  • 水やりは夏が勝負でメリハリが大切
  • 樹種と植え付け場所に合わせた水やりを行う

植物の特性を理解して、植え付けを成功させましょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

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