PR

【解説】庭の土壌改良に必要な資材・方法についてケース別に紹介

庭づくり

土壌改良材ってどれを選べば良いのかわからない。うちの庭に適した資材はどれ?」

この記事ではそんなお悩みにお答えします。

土の状態は様々で、庭に適した方法を選ばないと効果がありません。この記事ではケース別に土壌改良の具体的な方法について解説します。

庭に必要な土壌改良を考える

土壌改良とは、土の物理性・化学性・生物性を改善する事

土壌改良は植えられた植物が健全に育つように様々な資材を混ぜ込んで、物理的・化学的・生物的な性質を改善する事です。

主な物理的要素としては、硬度(固さ)、保水性、透水性(=排水性)、通気性があります。

化学的な要素としては、ペーハー、保肥力があります。

また、人間の腸内フローラと似た考え方で、微生物も重要な要素です。土の中には有用微生物と有害微生物が住んでいて、せめぎ合いが行われています。落ち葉など有機物が分解されていくのは微生物の力によるものです。

現状の問題点を挙げてみる

まずは庭の土に何の問題があるか見極めましょう。水はけが悪い、根腐れが起きた、乾燥がひどい、木が枯れてきた、等々なるべく具体的に挙げてみましょう。土の状態と植物に現れた症状を中心に洗い出してみると良いです。

植える植物に合わせた土壌改良

庭の場合は大規模な畑と違って様々な種類の植物を育てる事が多いかと思います。改良を加えるにあたっては、植える植物に合わせた方法を選ぶ必要があります。例えば、芝生を張るなら水はけの改善、弱酸性土壌を好むツツジやブルーベリーはペーハーの調整等が挙げられます。

全体的に言えるのは、湿地の植物以外は水はけの良い環境を好むので、排水性を重点的にチェックすると良いでしょう。

土壌改良が必要な深さ

有効土層の構成断面図
有効土層の断面構成と土壌改良が必要な深さ

土壌改良を行う深さは対象とする植物で異なります。根が伸びる範囲を有効土層と言い、高木は60cm、中木では40cm、低木や草花、芝は30cm程度あれば生育します。ただし、大きくなる高木については支える根を深く伸ばせるよう80cm以上の深さまで改良する必要があります。

また、植物の根は主に深さ30~40cmの間から養分と水分を吸収します。よって、深さ40cm以下の範囲は排水性と根が伸ばせる程度の柔らかさが確保できれば良いとされています。

メリハリをつけた改良を行い、効果的に資材を使いましょう。

ケース別に見た土壌改良方法

ケース1. 粘土質で排水性が悪い場合

庭全体の水はけが悪い場合は暗渠(あんきょ)を設け、排水経路を作って敷地外に排水する事が最も効果的です。暗渠は有孔管(穴空きの塩ビ管)と砕石を使って作るので、大規模な工事となります。

部分的・簡易的に行う場合、排水層を設けてから、埋め戻す土に黒曜石パーライト等の土壌改良資材をすき込む事でも一定の効果があります。なお、排水層は深部の透水層まで貫通させた方が良いです。

樹木を対象とした部分的な改良方法としては、「割竹挿入竪穴式土壌改良法(※1)」があります。直径20cm、深さ1m程度の縦穴を掘って、竹を半分に割って節を取り除き束にしたものを埋めることで通気口を作ります。埋め戻す時は竹筒の周囲に堆肥を詰め込みます。樹木の根を痛めにくい方法です。

※1:一般財団法人日本緑化センター『最新・樹木医の手引き改訂4版』(平成27年6月)

ケース2. 土がカチカチな場合

地面にスコップが半分も挿さらないようだと、土が硬すぎて根が成長できません。土が固い原因は、以下が考えられます。

  • 人や車がよく通る場所で踏み固まっている
  • 造成の為に重機で固められている
  • 切土で本来の表土が失われ、固い層が露出している

こういった場合は、まずは耕して水と空気が含まれる状態を作ります。また、固まりやすい性質の土であれば、堆肥を入れて柔らかくするなどの別の改良方法の併用も視野に入れましょう。

ケース3. 有機物が不足している場合

有機物、特に微生物にとって重要な腐植(ふしょく)の含有量は土の色である程度の予想がつきます。腐植が豊富に含まれる土は黒い色をしており、土の色が薄い黄土色といった場合、有機物の不足が考えられます。ちなみに腐植とは落ち葉や生物の死がいが分解された後の残りカスの事です。

腐植の不足は堆肥や腐葉土をすき込む事で改善できます。また緑肥作物といって、刈り取ってすき込む事を前提とした植物も存在します。ひとつ注意点があり、植物を混ぜれば何でも良いかというと実は違って、分解に時間のかかる枝等は細菌性の病気を誘発する事があるので良くありません。

また、腐植は常に消費されて減るものなので、定期的に加える必要があります。微生物やミミズが多いフカフカな土を目指しましょう。

ケース4. 砂地で乾燥がひどい場合

沿岸地域で多い砂質の土壌は、保水性・保肥性の改良が必要です。資材としては、粘土質の土、堆肥の混入が有効です。変わったところでは高分子系の保水ポリマーがあり、砂漠の緑化に使用されています。

砂地を好む植物もあるので、植物選びによっては改良の必要がない場合もあります。庭づくりの方向性と一緒に考えてみて下さい。

ケース5.土が酸性に傾いている

極端に酸性に傾いた土は酸度を中和する必要があります。酸性の中和には石灰や、貝殻の粉末を土に混ぜ込みます。

土壌の酸度を調べるには、土に挿すだけで使える市販の測定器が便利です。

大半の植物は中性(pH6.6~7.0)の土を好みます。日本は雨の影響で酸性寄りに傾きやすいと言われています。自生地が石灰岩質土壌の植物はアルカリ寄りを好む傾向にあり、育てる時は注意が必要です。

植物の症状から土壌改良を考える

しおれたアジサイ

植物は何かしらのサインを出しているので、症状をよく観察して調べてみましょう。見たことのある事例をいくつかご紹介します。

樹木が枝先から徐々に枯れてくる場合

枝先からじわじわと枯れ込む場合は、根に異常が起きている事が多いです。

土壌に原因がある場合で良く見られるのは根腐れの症状です。根は呼吸をしていますが、粘土質の土壌は根腐れが起きやすく、根を失うと水の吸い上げが減るため維持できなくなった枝が枯れていきます。

暗渠や黒曜石パーライトで透水性・通気性の改善を行いましょう。

樹木の周囲に土を盛ったら弱り始めた場合

樹木の根が伸びている範囲に厚く土を盛ると通気性が低下して弱る事があります。

水分や養分を吸収し活発に呼吸をしている根は、その多くが地面付近にあります。地面の高さが後から上がってしまうと深植え状態となり悪影響を及ぼします。また、根の広がる範囲は枝の範囲と同等以上なので、根元付近だけではない事にも注意しましょう。

改善するには盛った土を取り除き、元の地面の高さまで戻しましょう。取り除けない場合は、通気用のパイプを埋めるなどして、通気性を確保します。製品としてはDOパイプという黒曜石パーライトを筒状のネットに詰めたもの等があります。

夏になると急にしおれる場合

夏場の乾燥で弱る場合は、保水性の不足が考えられます。保水性の改善には堆肥や腐葉土を混ぜて土の団粒構造を作るか、保水性のある真珠岩パーライトやバーミキュライト、高分子ポリマーを土に混ぜ込みましょう。

なお、夏以外の時期が元気であれば、応急的に水やりをしても対処はできます。

分からない時は専門家に相談する

自分で判断するのが難しい場合は、正しい知識のありそうな業者や専門家に直接見てもらう事をお勧めします。土壌の専門資格である植栽基盤診断士や、造園業界の難関資格のである樹木医が在籍している会社は信頼できると思います。

様々な資材とその効果

用途別の土壌改良資材一覧

一般的に入手できる資材を表にまとめました。用途に合わせて最適な資材を選びましょう。

用途土壌改良資材
排水性・通気性の改善バーク堆肥、腐葉土、木炭、もみ殻くん炭、黒曜石パーライト(ビーナスライト)、バーミキュライト、有孔管
保水性・保肥性の改善バーク堆肥、腐葉土、真珠岩パーライト、バーミキュライト、ベントナイト、高分子系吸水ポリマー
酸性土壌の中和苦土石灰、消石灰、貝殻の粉末(有機石灰)
アルカリ性土壌の中和ピートモス、酸性肥料(硫安など)
有害物質の吸着木炭、もみ殻くん炭、ゼオライト
土壌改良資材一覧

資材の詳細は今後別の記事で紹介していきます。

まとめ

  • 土壌改良は土の物理性・化学性・生物性を総合的に改善すること
  • 庭の土に何の問題があるか見極める
  • 有効土層を基準に、メリハリをつけた改良を行う
  • 土壌の状態を見極めて、目的に合った資材を選ぶ

この記事では土壌改良の基礎知識と必要な資材や効果、土壌改良方法について解説しました。土づくりは庭作りや家庭菜園の基本です。植物に適した環境を整えて素敵なガーデニングライフを楽しみましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

  1. 一般財団法人日本緑化センター『最新・樹木医の手引き改訂4版』(平成27年6月)

コメント

タイトルとURLをコピーしました