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ノカンゾウの栽培レポート、育ててみた感想等まとめ

ノカンゾウの花 栽培レポート

ノカンゾウについて、栽培事例をご紹介します。私の場合の育て方や、四季の様子、育てた感想等をまとめます。これから育てたい方や、既に育てている方の参考になれば幸いです。

ノカンゾウの特徴

野生のノカンゾウ
(7月上旬 東京都)野山に自生するノカンゾウ

河川周囲の草地や土手に自生する在来種の多年草です。地下茎で広がり、しばしば群落を形成します。

梅雨の後半頃より、ユリに似た橙色の花を咲かせ良く目立ちます。属名のヘメロカリス(Hemerocallis)の由来はギリシャ語のhemera(一日)とcallos(美)で、花は早朝に開き、夕方にしぼむ一日花です。つぼみは次々に開花し、株が複数あれば一か月程度は咲き続けます。

若芽や花は食用にでき、山菜として親しまれています。漢方のカンゾウ(甘草)はマメ科の別の植物です。

近い仲間には八重咲きのヤブカンゾウ、黄花で山地に自生するニッコウキスゲ、夕方から開花するユウスゲ、沿岸地域に自生するハマカンゾウ、園芸種のヘメロカリス類といった多くの種類があります。

基本データ
学 名Hemerocallis fulva var. longituba
分 類ススキノキ科 ワスレグサ属
形 態多年草(冬季落葉)
原産地日本、中国
大きさ高さ50~100cm、幅30~50cm
開花期7~8月
花 色
日 照日当り
水 分普通
耐寒性
耐暑性
増やし方株分け、実生
用 途庭植え、鉢植え、山菜、エディブルフラワー(食べられる花)
ノカンゾウの基本データ

わたしの育て方

私の庭では2017年より育て始めました。地下茎で増えますが、増殖スピードは速くはありません。草丈(葉)は50cm程で、花茎は長く伸び、花の高さは1.2m程度になります。花つきは良く、毎年咲いています

栽培環境

グラス類と共に日当りに植えています。環境が合うのか付近の野生の株より大きく育っています。自生地を見る限り、半日陰でも生育しています。日向の方が花付きは良くなるようで、1本の花茎でも15輪ほどの花がつきます。

水やり

多少の乾燥耐性はありますが、適度に水分のある環境を好みます。極端な水切れでは弱ってしまうため、夏場だけは水やりをしています。

肥料

春先に、他の植物のついでに緩効性肥料を与えています。

病気・害虫

固有の害虫として、ツボミに白色のロウ状物質をまとったキスゲフクレアブラムシが発生する事があります。他の宿主であるミツバウツギ、ゴンズイが近くに生えていると発生しやすくなります。

お手入れ

花が咲き進む間に実ができ始めます。私は放置していますが、種を取る必要がなければ花茎ごと切り取ります。結実量は少ないので、翌年の開花に影響は少ないように思います。

地下茎で少しづつ増えるので、不要な場所から出てきた芽は切り取って整理します。山菜として食べるチャンスですね。

冬に完全に落葉したら地際で刈り取ります。

ノカンゾウの栽培レビュー

春の様子(3~5月)

4月に芽が生えてきます。生え始めの葉は左右交互に広がります。この時期は山菜として採取できるタイミングです。

夏の様子(6~8月)

6月には花茎が長く伸び、先端に蕾が見え始めます。

ノカンゾウの植栽例
(7月上旬 自宅の庭)開花の様子

7月に入って間もなく開花し始めます。橙色の花が鮮やかで、午前中の方がきれいです。夕方には萎み、翌日にはポトリと落ち、次の蕾が順次開花します。

ノカンゾウの若い実
(7月中旬 自宅の庭)ノカンゾウの若い実

開花期の後半には実ができ始めます。縦長でユリに似た形状です。結実率は低く、一つも実らない株もあります。ちなみに近縁種のヤブカンゾウは3倍体のため実ができることはありません。

秋の様子(9~11月)

実が熟すと鞘の先端が割れて黒いツヤのある種が顔をのぞかせます。

冬の様子(12~2月)

冬は地上部が全て枯れてなくなります。枯葉を抜き取ると株の位置がわからなくなります。この頃には親株の周囲に子株ができていて、来春には芽数が増えます。

育てた感想

見た目と育てやすさ

日本の平地に自生する種であり強健です。野生の花ですが、橙色に輝く花が美しく、ワイルドビューティーといった感じです。地下茎で広がりますが、まばらに増えるタイプのため制御は難しくありません。花の少なくなる夏に咲く草花として有用な種だと思います。食べられるという点も面白いです。

広がって困る場合はプラスチック製の畔板等を用いて根を囲い、根域を制御すると良いです。

おすすめの使い所

野性味が強いため、里山ガーデンや雑木の庭に合う植物です。日当たりか半日陰で常緑のグラス類と混植するのもおすすめです。ナチュラルガーデンにも調和すると思います。

在来種にこだわった植栽ではぜひ取り入れたい草花です。

相性の良さそうな植物

一番相性が良いのは日本に自生する野の花です。草原のイメージでオーナメンタルグラスと合わせるのも良いと思います。雑木類の下草としても有用です。

草花の例:オミナエシ、カレックス、ススキ、フウチソウ、ホタルブクロ、ヤマユリ等

樹木の例:アオダモ、クロモジ、コナラ、ツリバナ、ハギ、モミジ、ヤマザクラ等

関連情報

ノカンゾウの仲間

ワスレグサ属(ヘメロカリス属)の仲間を少しだけご紹介します。

ヤブカンゾウ

ヤブカンゾウの花
(7月上旬 東京都)
ヤブカンゾウの群生地
(7月上旬 東京都)

ノカンゾウと同じく草地や土手に自生します。しべが花弁に変化した八重咲であることが特徴です。有史以前に中国から持ち込まれて帰化したと言われています。

近所に自生していて、開花時期に撮影できました。河川敷脇のやや暗い林に小さな群落をつくっています。

ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)

ニッコウキスゲの花
出典:写真AC
ニッコウキスゲの群生地
出典:写真AC

正式名はゼンテイカ(禅庭花)です。栃木県の日光市だけでなく、北海道や中部以北の本州で、山地を中心に広く自生しています。有名な自生地としては、栃木県日光市の霧降高原、長野県の霧ヶ峰、尾瀬国立公園が知られています。

ヘメロカリス(園芸種)

ヘメロカリス園芸種、赤
(7月上旬 東京都)
ヘメロカリス園芸種、複色
出典:写真AC

日本を含む東アジアに自生する原種を元に欧米で改良が進み、多くの園芸品種が作出されています。花色が豊富で、橙、赤、黄、白、ピンク等があり、花の姿や大きさも様々です。英名はデイリリーです。

                        

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