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【解説】剪定枝をチップ化してマルチングに利用する際の効果と注意点

庭づくり

落ち葉や剪定枝チップを利用したマルチングをご存じでしょうか。私は庭で実践しています。剪定枝チップのマルチングには主に雑草抑制地面の保護土壌改良効果があり、ぜひご家庭で取り入れて欲しい方法です。

この記事は以下の方におすすめです。

  • 剪定枝チップのマルチングって良いの?
  • どんな効果があるか知りたい。
  • 見た目や臭いがあるのか気になる。

この記事では様々な効果と使用例、注意点について、実際にやってみた私の庭での例も踏まえて解説します。

具体的にどんな効果がある?

剪定枝チップのマルチングには主に以下の効果があります。

  1. 雑草が生えにくくなる
  2. 地面の乾燥、凍結、霜の対策になる
  3. 土砂の流出と泥の跳ね返り防止になる
  4. 土壌改良の効果がある
  5. 生き物に住処を提供できる
  6. ゴミの削減になる

雑草が生えにくくなる

雑草の多くは発芽の条件に光を必要とします。種の発芽には水分、温度、光、種の成熟度などの条件がありますが、その内の一つ「光」を遮り、発芽に適さない状態にできるので、雑草が生えづらい状態をつくれます。

地面の乾燥、凍結、霜の対策になる

マルチングには断熱効果もあります。地面に対して太陽光と風が直接当たらないため、夏は地面が高温になりにくく、水分の蒸発を遅らせることができます。冬はふかふかの布団をかけたような保温効果があり、冷気が直接土に当たらないので、植物の根や草花の芽を厳しい寒さから守る事ができます。

土砂の流出と泥の跳ね返り防止になる

地面がむき出しの場合は大雨が降ると表土が流されてしまいます。マルチングがあれば雨粒による衝撃に対するクッションとなり、大雨でも土が流れにくくなります。またクッションのおかげで泥はねが減り、建物や塀の汚れ、植物の病気のリスクも少なくなります。

土壌改良の効果がある

粉砕した枝葉を敷く事は、自然界の地面に近い環境づくりと言えます。森の地面では落ち葉が継続的に降り積もり、微生物や小さな虫によって分解されるサイクルがあります。地面が自然の環境に近づく事で土壌の団粒構造化が進み植物が健康に育ちやすくなります。

生き物に住処を提供できる

地面の落ち葉や枝は生き物の餌や生活の場となり、格好の隠れ家になります。また、落ち葉や枝を分解する微生物や虫、それを捕食する昆虫、昆虫をたべる爬虫類、鳥、小動物、といった生態系のピラミッドが庭においても形成されます。害虫を食べる益虫が増える事も十分に期待できます。

ゴミの削減になる

剪定枝を家庭からゴミとして出した場合は、自治体にもよりますが、多くは委託された業者が回収し処分場で焼却処分されます。自宅の庭で消費できれば、ゴミの運搬や処分に関わる燃料や電力、排出ガスの削減になります。

見た目や臭いってどうなの?

迷っている方が気になるの見た目と臭いではないでしょうか。実際にやってみた様子を写真と共にご紹介します。

マルチングの見た目

剪定枝チップによるマルチングの見た目
半年経過の状態。まだ枝と葉の形が残っている(落葉樹使用)

見た目については人それぞれ感じ方が違うので何とも言えませんが、私個人の感想としては「森の林床みたい♪」と思っています。敷き均し直後は一面が緑色になりますが、数日~10日間程度で落ち葉の色に変わって馴染みます。暑い時期はすぐに茶色くなります。葉が厚い樹種は薄い樹種に比べて時間がかかります。

剪定枝チップによるマルチング1年経過の見た目
約1年経過の状態。葉は分解され、枝は形が残っている(落葉樹使用)

一年経つと柔らかい葉は形がわからないくらいまで分解されます。枝はまだ形が残っています。断面積が大きいものほど分解に時間がかかります。この場所は雑草がほとんど生えてきませんでした。

素材別の分解の速さは腐葉土づくりから考えると、落葉樹 > 常緑樹 > 針葉樹の順かと思います。

刈り草によるマルチングの見た目
草マルチ。カレックスの仲間のアオスゲ(雑草)を使用

次に別バージョンで、私が考案した草マルチです。考案と言ってもグラス類の刈り取った葉をそのまま敷きならしただけで、だれでも簡単にできます。結局見た目が細かく均一ならイケるんじゃないかと思ってます。余談ですが、和風庭園においては松の葉をマルチングに使用する「敷き松葉」という技も存在します。

マルチングの臭い

実際に臭いをかいでみましたが、う~ん、ほんのり森の匂い?ほとんど無臭?特に気になる臭いは感じませんでした。薄く敷くだけなら腐敗することもなく、マルチングとして十分に役目を果たしています。

メリットとデメリット、注意点について

ここからは剪定枝によるマルチングのメリットデメリットについて解説します。

剪定枝マルチングのメリット

  1. 草取りがかなり楽になる
  2. 自動で土壌改良が進む
  3. とにかく地球環境に優しい

草取りがかなり楽になる

雑草の発芽が減ることで、地面がむき出しの状態に比べて草取りの手間が大幅に減ります。体感としては年1回短時間の除草をすれば良いかなという程度です。ただし、ドクダミやヤブガラシ等の地下茎タイプの雑草の根が残っている場所ではこの限りではありません。

自動で土壌改良が進む

自然のサイクルによって地面の微生物が少しづつ分解していきます。分解されてできた腐植はミミズや地面に住む昆虫が土に混ぜてくれるので、団粒構造を形成した良質な土が自動で出来上がります。また、腐葉土を買って混ぜる必要がなくなる、又は作る場所と手間が無くなる事もメリットです。

とにかく地球環境に優しい

可燃ゴミ・CO2排出量の削減、生き物の生態系の回復といった地球環境の保全に関する効果がいくつもあります。

剪定枝マルチングのデメリット

  1. チップ化する手間がかかる
  2. キノコやカビが生える事がある
  3. ダンゴムシなどの虫(分解役なのだが)が増える

チップ化する手間がかかる

専用の機械「ガーデンシュレッダー」を用意して粉砕する手間が必要になります。ちなみに私が住む地域では剪定ゴミは一定の長さに切って束ねなければならないので、その手間が機械に放り込む手間に変わったくらいです。

キノコやカビが生える事がある

微生物による分解は糸状菌(いわゆるカビ)や放線菌等の菌類が行います。菌が豊かな環境となるためキノコ・カビはどうしても生えます。ちなみに食べたりしなければ人間には無害だと思います。

ダンゴムシなどの虫が増える

森の分解役を担当するダンゴムシやミミズを始めとして、庭に生きる虫の数が増えます。そしてその虫を食べるクモやトカゲ、カエル等も現れます。虫や爬虫類が苦手な人はやめておいた方が良いかもしれません。

剪定枝マルチングの注意点

庭で剪定枝チップのマルチングを行うにあたって、いくつか注意点があります。

  • 水はけが悪い場所では厚く敷きすぎない
  • 生の状態で土に混ぜ込むのはNG
  • 病気が出ている樹木の枝葉は使わない方が良い
  • いづれ分解されて無くなるので、定期的に補充が必要
  • 強い風が吹く地域では散らからないよう工夫が必要

水はけが悪い場所では厚く敷きすぎない

水分が多い状態が長く続くと分解ではなく腐敗になる恐れがあります。分解能力のある菌にはたくさんの種類がいて、主役となる菌が好気性のタイプなら腐葉土と同様の過程で分解が進みます。嫌気性のタイプが優勢になると腐敗臭のあるドロドロした状態になってしまい植物に良くありません。水が貯まるような場所に敷くのは避けましょう。厚みの目安は地面が見えなくなるくらい(3~5cm程度)で十分です。

生の状態で土に混ぜ込むのはNG

未熟な有機物を土に混ぜ込むと白紋羽病・紫紋羽病の病原菌の餌となり病気が発生する事があります。柔らかい草程度なら影響は出にくいですが、分解に時間のかかる枝は混ぜない方が良いです。地表に敷く分には問題ありません。

病気が出ている樹木の枝葉は使わない方が良い

樹木の病気は落ち葉が翌年の伝染源となるものがあります。重度の病気が出ている葉は処分した方が良いでしょう。

いづれ分解されて無くなるので、定期的に補充が必要

素材や環境にも寄りますが、数年以内に分解されて土に還ります。補充する事を前提に行ってください。毎年剪定を行うお庭であれば消費と供給のバランスが取りやすいかと思います。

強い風が吹く地域では散らからないよう工夫が必要

細かいため通常の落ち葉よりは飛びにくいですが、強風で散らかる恐れがあります。強風が抜ける場所には敷かない、植え込みの端に低い生垣を作って防ぐなどの対策を行いましょう。

まとめ

ここまで剪定枝を用いたマルチングの効果や見た目、注意点について解説しました。最後に要点を整理します。

  1. 主な効果は雑草対策、地面の保護、土壌改良、ゴミの削減。
  2. 見た目は賛否両論。自然派の人には向いているかも。臭いは問題なし。
  3. 庭の土壌環境が自然のサイクルに近づき、植物の生育に良い。
  4. 地面が見えなくなるくらい、薄く敷くのが良い(3~5cm程度)

剪定枝によるマルチングは自然と共生する手段の一つです。自然循環型の庭づくりとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

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