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キョウガノコ(京鹿子)の育て方と栽培レポート、シモツケソウの自生地

キョウガノコの花のアップ 栽培レポート

キョウガノコについて、栽培事例をご紹介します。私の場合の育て方や、四季の様子、育てた感想等をまとめます。これから育てたい方や、既に育てている方の参考になれば幸いです。

キョウガノコは梅雨時にピンクの小花を多数咲かせる宿根草です。栽培のポイントは高温と乾燥に注意する事です。見た目は繊細ですが、性質は比較的丈夫で育てやすいです。

キョウガノコの特徴

キョウガノコの全景
(5月下旬 自宅の庭)開花時の姿。濃いピンクが鮮やか。

キョウガノコは古くから栽培され、日本原産のシモツケソウ類の園芸品種と言われています。小花が集まって咲く様子は繊細な印象で、山野草の雰囲気があります。掌状(モミジ型)の切れ込みのある葉が特徴的で、縁にはギザギザ(鋸歯)があります。使い所としては、和風庭園か、ナチュラルガーデンに合います。背丈がそこそこ大きくなるので、花壇では中景に配置すると映えます。見た目は繊細ですが、性質は丈夫です。

基本データ
学 名Filipendula purpurea
分 類バラ科 シモツケソウ属
形 態多年草(冬季落葉)
原産地日本
大きさ高さ30~100cm、幅20~50cm
開花期5~6月
花 色ピンク
日 照半日陰、木陰
水 分やや湿潤
耐寒性
耐暑性
増やし方株分け
用 途庭植え、鉢植え、草物盆栽、茶花
キョウガノコの基本データ

わたしの育て方

私の庭では2018年に3.5号ポット苗より育て始めました。芽数が少しづつ増え、毎年元気に花を咲かせています。株立ち状で細い茎が多数伸び、高さは80cm程度まで育ちます。植え付けてから4年目の3月に一回株分けを行い、1株から3株になりました。

栽培環境

キョウガノコは高温と乾燥が苦手です。

夏の強光と暑さを避けるため、落葉樹(ヤマボウシ)の木陰になる所に植えています。朝と夕方は直射日光が当たりますが、他の宿根草を近くに植えて、根元に西日が直接当たらないようにしています。半日陰が適地ですが、西日が当たらなければ明るい環境でも育てられるようです。

土は保水性と水はけの良い土壌を好みます。植え付け時にバーク堆肥をすき込んでから植え付けました。

株間は25~30cmとっています。葉が広がるので、詰めすぎない方が良いです。風遠しも良くなります。

水やり

乾燥を嫌う植物なので、夏場だけは水やりを行っています。長期間水切れすると弱ってしまいますが、しおれ始めくらいであれば水やりで元通りに復活します。10日ほど雨が降らない場合は夏以外でも湿り具合をチェックしています。

肥料

肥料は春先だけ緩効性の有機肥料を少量与え、表土に薄く堆肥をまいています。鉢植えにする場合は保持できる養分が限られるので春と秋に緩効性肥料や液体肥料を適量与えた方が良いと思います。

病気・害虫

たまに虫に葉をかじられる程度で、大きな被害はありません。

病気はウドンコ病になるという話も聞きますが、今のところ発生していません。

お手入れ

花後、種をつけたくない場合は花ガラを切り取ります。葉は来年に向けて栄養を貯えるのに必要なので自然に枯れてくるまで残しておきます。

冬には地上部が完全に枯れるので、地際でバッサリと刈り取ります。

株分けは株が込み合ってきた時に行います。掘り起こして根株を土ごとザックリと切り分けます。2~3月の芽出し前が適期です。増殖は遅いので地植えでは数年に一度の間隔で行えば十分です。

四季の生育状況

春の様子(3~5月)

3月中旬に新芽が伸び出し、4月には葉が茂ってきます。宿根草の中では葉の展開が早いです。

キョウガノコの蕾
(5月中旬)茎の先端にできた蕾

5月になると茎が立ち上がって粒状の蕾をつけ、5月下旬に開花します。

夏の様子(6~8月)

キョウガノコを植えた様子
(6月上旬)開花期を迎えたキョウガノコ

開花は小さな蕾が連続して開いていき、6月中旬まで1か月程度咲いてくれます。開花のピークは6月上旬です。終盤の花はピンクが色褪せて白っぽくなります。色褪せたら花ガラを切り取ります。

キョウガノコの葉
葉は掌型で鋸歯がある

葉の形も面白く、草花にはあまりない形状です。

キョウガノコの実(種)
(7月中旬)大きさが1mmほどの実(種)

花が終わってから1か月ほど経つと細かい実(種)ができます。何度か取り撒きしてみましたが、今のところ発芽した様子は確認できていません。種子で増やすのは一般的ではないようです。

キョウガノコの夏芽
(7月下旬)夏に新しい芽が伸びる。

株元には新たな成長点ができてきます。この芽は来年以降に開花するので大事にします。この時期に水を切らすと葉が枯れて翌年の開花に影響します。土の渇きすぎに注意します。

秋の様子(9~11月)

9月に入る頃には葉が暑さや虫食いで痛んできますが、緑のうちは切らずに残しておきます。開花した茎は二次成長しないため株の大きさは夏から変わりません。

寒さに当たると葉が黄色くなり次第に枯れ色に変わってきます。葉を切り取っても良い時期に入ります。

冬の様子(12~2月)

冬になると地上部が完全に枯れます。植えた場所がわからなくなるので、誤って掘り返さないよう位置を覚えておきましょう。良く見ると毛に覆われたような芽があるのが分かります。寒さには強く、防寒対策は不要です。

育てた感想など

見た目と育てやすさ

花色は派手ですが、一つ一つが細かいことでバランスがとれていて、とても美しい草花だと思います。昔から親しまれてきた事もうなづけます。繊細な見た目に反して、意外に花持ちが良く、1か月程は咲いてくれます。株は勝手に広がらないので、レイアウトに使いやすい印象です。手入れも簡単で育てやすいです。

おすすめの使い所

和風庭園の添景が一番しっくりきます。灯籠や景石の脇に添えて植えると引き立ちます。切り取って陶器の花瓶に挿しても素敵だと思います。

野趣を活かして、ナチュラルガーデンやグラスガーデンに植えても映えます。数株をまとめたグルーピングによる植え付けでボリューム感を出すとなかなか見ごたえがあります。葉の形も変わっているので見た目のアクセントになります。

相性の良さそうな植物

組み合わせる場合は、小花の宿根草やグラス類と混植するのがおすすめです。半日陰を好む植物と合わせても良いでしょう。

例:カワラナデシコ、ホタルブクロ、フウチソウ、カレックス、ホスタ(ギボウシ)など

関連情報

キョウガノコの仲間

キョウガノコの仲間で栽培されているのは、原種のシモツケソウ(Filipendula multijuga)や、白花のセイヨウナツユキソウ/別名:メドウスイート(Filipendula ulmaria)、黄金葉の園芸品種’オーレア’(Filipendula ulmaria ‘Aurea’)等があります。流通量はキョウガノコほど多くありません。

シモツケソウの自生地

山地の草むらに咲く原種のシモツケソウ
(8月 南アルプス)シモツケソウの自生地は明るい草原
薄いピンク色をしたシモツケソウの花
(8月 南アルプス)野生のシモツケソウの花

登山中、キョウガノコの原種とされるシモツケソウに出会った事があります。場所は南アルプスの北岳に登っている途中で、標高は約2500mの地点です。明るい斜面の草地で他の草花と咲き競いながら群生していました。

原種の自生地の環境からキョウガノコの性質を考察すると、斜面の特性として水はけの良い土壌、山地である事から涼しく湿った水分状況を好むと考えられます。また、本来は日当たり良い草原のような環境が好きですが、平地では夏が暑すぎるので、半日陰に植えて高温と西日を避ける事がポイントになると思います。冷涼な気候の土地であれば日向に植え付けても育つと考えられます。

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