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芝生にイモムシ!?厄介な害虫スジキリヨトウの対策と天敵について

庭の手入れ

芝生には多くの害虫が発生します。スジキリヨトウ、シバツトガ、コガネムシの被害が大きく三大害虫と呼ばれています。スジキリヨトウとシバツトガはどちらも蛾の仲間で、葉を食べるイモムシです。コガネムシの幼虫は地中で根を食べます。特にスジキリヨトウは食欲が旺盛で、あっという間に芝生を食い荒らします。せっかくの緑の芝生が台無しに・・・(泣)

この記事はこのような方におすすめです。

  • 芝生にイモムシが発生して困っている。
  • スジキリヨトウの対策方法を知りたい。
  • スジキリヨトウに天敵はいないの?
  • 被害を受けた芝は元に戻る?

私の庭では芝生を張った当初から発生していて、2年以上に渡り対処を続けてきました。当初は無策だったので大きな被害を受けましたが、最近は対策を練って被害が少なくなってきました。私が具体的に行っている事をまとめましたので、芝生を持っている方の参考にしていただければ幸いです。

スジキリヨトウはどんな害虫?

効果的に対処するために、まずは敵を知りましょう!

特徴と生態

スジキリヨトウの幼虫と成虫
庭の芝生に発生したスジキリヨトウの幼虫(左)と成虫(右)

スジキリヨトウは夜行性の蛾でヨトウムシの一種です。ヨトウムシは漢字で「夜盗虫」と書くくらいで、夜な夜な葉を食べる厄介な害虫として知られます。その中でもスジキリヨトウは芝生を専門に食害する種類です。高麗芝、野芝、ベントグラスが被害にあいます。芝生を食べるのはイモムシ型の幼虫で、緑色と茶色の個体がいます。背中に黒い模様があるのが特徴で、幼虫の大きさは最大で30mm程になります。

卵はフサフサの毛を被った卵塊

スジキリヨトウの卵塊
(5月下旬)卵塊が産み付けられていた

スジキリヨトウの卵は塊(卵塊:らんかい)となって、芝の葉先に産み付けられる事が多いです。卵塊の表面は毛に覆われていて、中には50~150個の卵が入っています。一つの卵は0.3mm程度と非常に小さいです。卵は5~7日で孵化(ふか)します。気温が高い方が孵化が早くなります。

小さい幼虫は昼間でも活動している事がある

スジキリヨトウの若齢幼虫
(6月上旬)昼間に若い幼虫を発見した

幼虫は基本的に夜行性ですが、大きさ10mmくらいまでの若齢幼虫は昼間でも葉先にいる事があります。最初は背中の模様が目立たず、全身緑色をしています。危険を察知すると葉からコロンと落ちて逃げようとします。

幼虫はある程度大きくなると夜行性になる

茶色いスジキリヨトウの幼虫
(8月上旬)驚いて体を丸める幼虫

幼虫は大きくなるにつれて、背中に黒い模様が出てきます。昼間は芝生に潜り込んで姿を隠すようになり、夜になると葉を食べに芝の上に現れます。昼間でも寝ているわけではなく、葉を根元から食べています。成長に比例して食べる量が増え、このまま放置すると被害が拡大します。幼虫の期間は25日程度です。

さなぎは芝生の下

芝の下に潜り込んで蛹になります。繭は作らず、蛹がそのまま埋まっています。あまり目にする機会はありません。蛹の期間は7日程度です。

成虫は小さな茶色の蛾

捕獲したスジキリヨトウの成虫
(8月上旬)夜、成虫の捕獲に成功

成虫は大きさが12~13mmで、羽にマダラ模様があります。ヨトウガの仲間はどれも姿が似ていて慣れないと見分けにくいです。夜行性で昼間は茂みに隠れ、夜になると芝生に飛んできます。寿命は1週間ほどと儚い命です。

写真は、夜に芝生の上にいた所を捕獲した個体です。産卵にやってきたのだと思います。

スジキリヨトウの産卵
(8月上旬)翌朝見ると卵塊を産んでいた

翌朝見てみると、容器の中で卵塊を産んでいました。卵塊を裏から見ると小さな黒っぽい粒々が確認できました。うげー

発生する時期

一年に3回発生し、成虫は5月中旬、7月下旬、9月中旬に多くなります。幼虫の防除期間は成虫が産卵・孵化後の5月下旬、8月上旬、9月下旬~10月上旬にかけて行います。幼虫の個体数は8月がピークになり、次いで10月も多くなります。

発生・防除時期は以下のサイトを参考にさせていただきました。

スジキリヨトウ ー バイエルクロップサイエンス株式会社 (environmentalscience.bayer.jp/Turf-Management/What-To-Control/Lawn-grass-cutworm)

発生の兆候は芝の葉先でわかる

スジキリヨトウの食害跡
(7月下旬)葉に見られた食害痕

スジキリヨトウの幼虫の発生は、食害跡の有無でわかります。
芝の葉を良く見ると、かすれた白い筋や斑点模様ができて白くなっているのがわかります。これは若い幼虫が葉の表面を食べた痕跡です。この痕跡が確認出来たら幼虫が潜んでいると考えて間違いありません。

卵を産み付けられやすい環境とは

卵塊は、長めに伸びた芝の葉先に産み付けられます。芝生の上に張り出した植物の葉裏についていることもあります。日当りが悪く芝が間延びしやすいエリアでは要注意です。

環境としては、日陰気味、風通しが悪い、他の植物と隣接する場所等は卵塊の数が多いと感じています。

スジキリヨトウの防除方法

ここからは具体的な防除方法のお話です。

対策1:頻繁に芝を卵ごと刈る

スジキリヨトウ対策は芝刈り
頻繁な芝刈りは卵塊の除去に効果的

卵は長く伸びた葉の先端付近に多い事から、頻繁な芝刈り作業が防除になります。産卵の予防とも言えますね。刈りカスには卵がついている可能性があるので早めに処分しましょう。

対策2:目視で卵を回収する

スジキリヨトウの卵塊除去
(8月上旬)葉ごと回収したスジキリヨトウの卵塊。これで900匹相当の幼虫を駆除?

卵のうちに取ってしまえば一気に撃退できます。卵塊一つで平均100匹分の幼虫を退治したのと同じ効果が期待できます。目が慣れると見つけられるようになります。毛がほぐれてきているのは孵化後で、中身がカラになっていることが多いです。8月上旬は数が増えます。

スジキリヨトウの孵化直後の幼虫
(8月上旬)孵化して間もない幼虫はとても小さい

撮影していたら孵化して日の浅い幼虫が出てきました。大きさ約1.5mmほどでしょうか。うげー

ちなみに孵化直後はもっと小さくて、大きさ1mmくらいでした。初期だけ卵塊の近くで集団行動します。

対策3:昼間に手で取る

捕獲したスジキリヨトウの幼虫
(6月上旬)昼間に捕まえた大きさ10mmほどの幼虫

いわゆるテデトール(手で取―る)です。昼間は葉先についている若い幼虫が対象です。卵の除去と一緒にやると効率が良いです。発生状況の把握にもなります。芝生がそこまで広くない方、時間の取れる方にはおすすめです。

対策4:夜間に手で取る

夜に現れるスジキリヨトウの幼虫
(7月下旬)夜間に活発に動き回る幼虫

懐中電灯を片手に芝を見回ります。大小の幼虫が捕獲でき、何日か連続で駆除を続けると数が減ってきます。ちょっとご近所さんの目が気になります。必要な物は、ライト、捕獲容器、鉄の心です。

対策5:大量発生には農薬(殺虫剤)で対処する

数が増えてしまった場合、人の手で退治するのは難しいです。私はやむを得ない場合のみ農薬を使うことにしています。作業の時間帯は幼虫が芝の表面に現れる夕方以降に散布するのがおすすめです。事前に芝を刈っておくと薬液がかかりやすく効果が上がります。スジキリヨトウを対象に、芝生に使える薬剤は主に以下のものがあります。クリックでメーカーの適用表のページにリンクします。

農薬は登録内容が変わる場合もあるので、ご自身で必ず確認してくださいね。

なお薬剤は幼虫が大きくなると効きにくくなります。なるべく発生初期を見計らって散布します。また、同じ薬剤を連続して使っていると耐性を持った個体が現れるため、異なる薬剤をローテーションで散布するようにします。また、真夏は芝の薬害にも注意が必要となります。

対策6:農薬を使わない場合の方法

私はまだやったことがないですが、米ぬか、草木灰、トウガラシエキスも対策になるそうです。米ぬかは、幼虫が食べますが上手く消化できずに死んでしまい駆除できるとのことです。草木灰、トウガラシエキスは忌避効果(寄せ付けない)があるらしいです。いつか庭で実験してみたいと思います。

スジキリヨトウの天敵

スジキリヨトウは強敵ですが、しっかり天敵もいます。ぜひ彼らの力を借りましょう!

トカゲ

スジキリヨトウの幼虫を食べるトカゲ
(7月下旬)スジキリヨトウの若齢幼虫を捕らえたニホンカナヘビの幼体。

トカゲは小さな虫を食べる爬虫類で、昼間に活動します。庭ではニホンカナヘビのちびっ子が幼虫を捕食する瞬間を目撃しました。写真はカプッと食らいついた時のものです。良くやった!えらい!!

こういう光景を見ると農薬はなるべくやめようかなって思ってしまいます。私の庭ではニホンカナヘビとニホントカゲが定着していて毎年繁殖しています。夏頃には小さなベビートカゲたちがチョロチョロ走り回っています。たくさん食べて大きくなるんだぞー。

カエル

カエルは基本的に夜行性で、スジキリヨトウに対して相性の良い天敵です。残念ながら私の庭では滅多に現れませんが、夜間、芝生の上にいるのを二度見ました。きっと良い仕事をしてくれていると思います。

カマキリ

スジキリヨトウの幼虫を捕らえたカマキリ
(7月下旬)若齢幼虫を捕食するカマキリの幼虫

カマキリは昼も夜も活動します。昼間は草むらにいる事が多いですが、夜間は芝生に降りてきているのを何度か見かけました。ちなみに夜のカマキリの目は真っ黒になります。わずかな光も効率的に利用するためだそうです。動きに敏感なので、飛んでくる成虫を捕らえてくれそうです。写真では夕暮れ時に幼虫を食べていました。(いろいろ出てしまっていてグロかったので加工してます。)

クモ

クモ類は昼も夜も活動します。巣を張るタイプは飛んでくる成虫を捕獲し、歩いて獲物を探すタイプは幼虫と産卵に来た成虫を捕獲します。クモは全般的に益虫ですね。

野鳥

仕事で芝生地の維持管理をしていた時、シジュウカラ、ムクドリ、セキレイが芝生をつついているのを良く見かけました。人の少ない静かな場所なら効果が期待できます。食べる量が爬虫類や虫より断然多いですからね。

天敵はどこまで効果があるのか

天敵たちは確かに被害を軽減してくれますが、効果は絶対ではなく、害虫の全滅とまではいきません。農薬(殺虫剤)の使用頻度を減らせるくらいで捉えるのが丁度良い思います。

スジキリヨトウも生態系の一部です。他の生き物の餌となります。生物の数のバランスを保つ事が、害虫の極端な大発生を避けることにつながると考えています。

被害を受けた芝生はどうすれば良い?

ここからは被害を受けてしまった後の事についてのお話です。実際の経験を元にご説明します。

根が枯れていなければ再生は可能

葉が食べ尽くされた芝は、軸刈りと同じような状態と言え、かなり弱ってしまいます。ですが、根と地下茎が残っているので、芝の体力が持てば回復はします。ダメージ量によっては完全に枯れてしまう部分もあります

防除作業で食害が無くなれば芝は再生し始めます。葉が伸びてきたら肥料を与えて回復を助けましょう。夏場で土の乾燥が酷ければ水やりもします。

再生には時間がかかる

実体験を元に話をしますと、私の庭では芝生が約25平米ありますが、芝張りをした一年目にスジキリヨトウが大発生し、面積の4割が食べられました。見るも無残な姿になり、部分的には芝が完全に消失した箇所もあります。農薬による防除の後、残った部分から芝が広がり、2年かけてようやく再生を果たしました。スジキリヨトウの幼虫は地下茎までは食べないため何とかなったようです。

芝の種類が伸びの少ないTM9のため、芝刈り頻度が少ない点も影響していると思います。姫高麗芝を張っている人も注意してくださいね。

再生を早めるために有効なこと

芝生の広がりは地下茎の伸びる量で決まります。枯れた面積が広い場合、元気な部分を土ごと少しはがして枯れた場所へ移植します。成長の起点が増えて、隙間が早く埋まります

修復を急ぐ場合は張り替える

広い面積で完全に枯れてしまった場合、自然回復には相当な時間がかかります。待てない場合は張り直しで対応します。ゴルフ場では営業に関わるため張替えを行うそうです。

スジキリヨトウに負けない!

ここまでスジキリヨトウの対策等についてお伝えしました。最後にポイントをまとめます。

  • スジキリヨトウは芝生を食べる三大害虫の一つ。
  • 防除には頻繁な芝刈りが有効。
  • 農薬を使うときは、事前の芝刈りと夕方以降の散布が効果的。
  • 天敵は爬虫類、昆虫、鳥類と多く、大発生の予防につながる。
  • 芝生は被害を受けても時間をかければ再生する。

ここまで読んでいただきありがとうございました。害虫に負けずに芝生ライフを楽しんでいきましょう。

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