種の発芽率は時間が経つにつれ低下していきます。また、保存方法を間違えると寿命が一気に縮んで発芽能力を失う事もあります。では、寿命を縮めないようにするには、どのように保存すればよいのでしょうか。
この記事は以下のような方向けです。
- 野菜や花の種は何年くらい保存できるの?
- 袋入りの種が全部撒けなくて余ってしまった。
- 種を取ったけど、撒き時までの適切な保管方法を知りたい。
種はすぐ撒けば発芽率が良いのはわかるけど、取っておいて後で撒きたい時もありますよね。保存に適した環境は「低温・低湿度・暗所」で、ご家庭では冷蔵庫がおすすめです。
この記事では、ご家庭向けに野菜や草花の種の寿命と保存方法について解説します。
種の寿命
種の寿命について、以下の順序でご説明します。
- 寿命は種類によって異なる
- 種子の寿命一覧表
- 寿命の年数を超えても発芽する事はある
寿命は種類によって異なる
種の寿命を大きく分けると「短命種子:1~2年」、「常命種子:2~3年」、「長命種子:4~6年」の3つのタイプに分けられます。実際は保存状態に左右されますが、種類ごとに決まった傾向があるようです。次の表で見ると、ある程度は「科」でタイプが分かれているようにも読み取れます。
種子の寿命一覧表
野菜の種
科名 | 栽培品目 | 種子寿命 |
アオイ科 | オクラ | 5年 |
アカザ科 | ホウレンソウ | 5年 |
アブラナ科 | カブ | 5年 |
アブラナ科 | カリフラワー | 4年 |
アブラナ科 | キャベツ | 4年 |
アブラナ科 | コマツナ | 4年 |
アブラナ科 | ダイコン | 4年 |
アブラナ科 | ブロッコリー | 5年 |
アブラナ科 | ミズナ | 2年 |
アブラナ科 | ラデッシュ | 4年 |
イネ科 | トウモロコシ | 2~10年 |
ウリ科 | キュウリ | 4~10年 |
ウリ科 | スイカ | 3年 |
ウリ科 | ゴーヤ | 5年 |
キク科 | シュンギク | 3年 |
キク科 | レタス | 5年 |
ゴマ科 | ゴマ | 1年 |
シソ科 | シソ | 1年 |
セリ科 | ニンジン | 3年 |
セリ科 | ミツバ | 3年 |
ナス科 | トマト | 4年 |
ナス科 | ナス | 5年 |
ナス科 | ピーマン | 5年 |
ナス科 | シシトウ | 5年 |
マメ科 | インゲン | 3年 |
マメ科 | エンドウ | 3年 |
マメ科 | ソラマメ | 4年 |
マメ科 | ラッカセイ | 1年 |
ユリ科 | タマネギ | 2年 |
ユリ科 | ニラ | 1年 |
『主な野菜種子の特性一覧表(ジオテック)』を参考に作成。
草花の種
科名 | 栽培品目 | 種子寿命 |
アオイ科 | タチアオイ | 2年 |
アゼトウガラシ科 | トレニア | 1年 |
アブラナ科 | アリッサム | 1年 |
アブラナ科 | ストック | 3年 |
オオバコ科 | キンギョソウ | 3年 |
オオバコ科 | ジギタリス | 1年 |
オオバコ科 | リナリア | 2年 |
キキョウ科 | キキョウ | 1~2年 |
キキョウ科 | ロベリア | 2年 |
キク科 | カイザイク | 1~2年 |
キク科 | キンセンカ | 2~3年 |
キク科 | コスモス | 1~2年 |
キク科 | ジニア | 2~3年 |
キク科 | ダリア | 2年 |
キク科 | ハルシャギク | 1年 |
キク科 | フレンチ・マリーゴールド | 2年 |
キク科 | ヤグルマギク | 3年 |
キョウチクトウ科 | ニチニチソウ | 1年 |
クマツヅラ科 | バーベナ | 2年 |
ケシ科 | ハナビシソウ | 2年 |
サクラソウ科 | シクラメン | 3年 |
シソ科 | サルビア | 1年 |
スベリヒユ科 | マツバボタン | 2年 |
スミレ科 | パンジー | 2年 |
ツリフネソウ科 | インパチェンス | 1~2年 |
ツリフネソウ科 | ホウセンカ | 5~6年 |
ナス科 | ペチュニア | 2~3年 |
ナデシコ科 | アグロステンマ | 5~6年 |
ナデシコ科 | カーネーション | 2~3年 |
ナデシコ科 | カスミソウ | 2年 |
ヒユ科 | ケイトウ | 5~6年 |
ヒユ科 | センニチコウ | 2年 |
ヒルガオ科 | アサガオ | 5~6年 |
ヒルガオ科 | ルコウソウ | 3年 |
マメ科 | オジギソウ | 2年 |
マメ科 | ルピナス | 3年 |
ムラサキ科 | ワスレナグサ | 1年 |
『タネからふやす|住友化学園芸』を参考に作成。
寿命の年数を超えても発芽する事はある
ご紹介した表はあくまで参考値です。保存に適した環境で厳重に管理すれば寿命は長くなります。
農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)の研究では、最適な環境で保存すればキュウリの種が130年経過しても一定の発芽率を保つとの推定結果を出しています。
(研究成果) 適切な環境で保存すると、種子の寿命はどのくらい? 農研機構(2020年11月)
保存方法のポイント
休眠状態を維持するために、以下のポイントを押さえましょう。
- 低温・低湿度・暗所で保管
- ご家庭でおすすめなのは冷蔵庫
低温・低湿度・暗所で保管
種子は休眠しているとはいえ、限られたエネルギーを使ってわずかに活動しています。活動量を特に左右するのは温度・湿度・光です。
農研機構のジーンバンク事業では、農業上重要な植物の種子等を保存しており、保存に適した環境条件をマイナス1°C、湿度30%に設定しています。
温度と湿度が上がると種子は休眠から目覚めようと活動を始めてしまい、温度が5度上がるごとに寿命が半分になるとも言われます。種子の消耗だけでなく、細菌やカビの活動も活発化し悪影響が出やすくなります。また、光も、特に紫外線が種子の劣化に影響を及ぼします。
長期保存には、低温・低湿度・暗所の条件を満たす場所で保管しましょう。
ご家庭でおすすめなのは冷蔵庫
お家で低温&暗いを満たす環境はズバリ冷蔵庫です。そして、できれば冷蔵室がおすすめ。
野菜室だと熟す効果のあるエチレンガスにさらされるので良くありません。エチレンガスを出すのはリンゴが有名ですが、果物だけでなくトマトやブロッコリー、アボカドなど他にも色々とあります。
また、冷凍庫は種子内の水分が凍って細胞が破壊される場合があります。よって、野菜室でもなく、冷凍室でもなく、冷蔵室が一番です。
湿気対策としては、種をシリカゲルと一緒にジッパー付きの保存袋に入れると良いです。また自家採種の場合は、晴れた日に採り、風通しの良い日陰で干してしっかり乾燥させておきましょう。
まとめ
ここまで野菜や草花の種の寿命と保存方法について解説しました。最後に要点をまとめます。
- 種子の寿命は種類によって違う
- 長期保存は低温・低湿度・暗所で保存すると良い
- ご家庭では冷蔵庫(冷蔵室)での保管がおすすめ
種は眠りながら生きています。発芽するその時まで、なるべく良い状態で保存してあげましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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