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ネコブセンチュウ対策!パストリア水和剤を使用した効果と感想

家庭菜園

ちゃんと管理しているはずなのに野菜の生長が悪い。掘ってみると根にたくさんのコブができている。それは厄介なネコブセンチュウの仕業かもしれません。かつてセンチュウ被害は一度発生すると撲滅が難しいとされる非常に厄介な相手でした。しかし、今は技術の進歩によって天敵微生物を利用した防除方法が開発され、有効な手段の一つになっています。

この記事は以下の方におすすめです。

  • ネコブセンチュウの被害に悩まされている。
  • ネコブセンチュウ対策と効果について知りたい。
  • パストリア水和剤の効果について使った感想を聞きたい。

ネコブセンチュウは私の家庭菜園エリアでも発生してしまい、野菜の種類によっては収穫前に枯れてしまう事もありました。効果があると言われる事をいろいろ試しましたが中々被害は収まらず、最終的に行き着いたのが生物農薬のパストリア水和剤でした。この農薬はセンチュウだけに寄生する天敵微生物(菌)を利用するもので、長い闘いに終止符を打ってくれました。

今では過去に育たなかった野菜が栽培できるようになり収穫を楽しんでいます。センチュウ防除の過程を振り返ると他の対策と併用した事が決め手になったと考えています。また、パストリア水和剤は効果のあるセンチュウが限定されるため、発生しているセンチュウの種類を特定する必要もあります。

この記事では実体験と共に、ネコブセンチュウ撃退までに行った対策と生物農薬「パストリア水和剤」を使った効果・感想についてまとめます。家庭菜園でネコブセンチュウの被害に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

センチュウ対策を基本から知りたい方は、先に以下の記事をご覧いただくと理解が深まると思ます。もしよろしければご覧ください。

ネコブセンチュウとは

ネコブセンチュウの被害を受けたスイカの根
ネコブセンチュウの被害を受けたスイカの根

センチュウの仲間は非常に種類が多く、生態系ピラミッドを支える重要な生き物です。大半の種類は人や植物に無害で、一部の種類が動植物に寄生して害を及ぼします。植物に有害な種類では大きく分けるとネコブセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、シストセンチュウ類があります。この記事では私を苦しめたネコブセンチュウに特化して扱います。

ネコブセンチュウの特徴

ネコブセンチュウ類は名前の通り植物の根に寄生して多数のコブを発生させるセンチュウです。主な種類はサツマイモネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ、アレナリアネコブセンチュウが挙げられます。大きさは0.5~1mm程度でネマトーダとも呼ばれます。寄生された根は水分と養分を正常に運べなくなり、コブが多発すると地上部の生育不良や葉の萎れ等を引き起こし、最悪の場合は枯れてしまいます。土壌中のセンチュウ密度(生息数)が高まるにつれ被害が大きくなります。

ネコブセンチュウの生態

幼虫は地面の中を移動し、根に寄生して成虫になると動かなくなります。定着した成虫は産卵して新たな幼虫を生み出し、周囲に拡散させながら増えていきます。幼虫は細長い糸状の形ですが、メスの成虫は丸みのある型に変化します。多くの種類は単為生殖が可能でメスだけでも増えることができます。

幼虫の寄生から産卵までの期間は25~30日程で、数百個の卵が入った卵のうを産み落とします。温度が25~35度程度で最も活発に活動し、一年に4世代発生します。低温期は活動が鈍くなり冬は卵の状態で越冬します。加温したハウスでは周年被害が発生する場合もあります。生存期間は半年から1年半程度と言われます。

発生しやすい環境

ネコブセンチュウが好む環境は水はけの良い土壌で、排水性の良い火山灰土壌(黒ボク土)や砂質土壌で被害が出やすいと言われています。野菜の栽培に適した土壌でも発生してしまう厄介な存在です。

ネコブセンチュウ類は多犯性で寄生対象が非常に多いため、連作を行う畑でなくても発生する事があります。草花や雑草にも寄生して増殖します。

パストリア水和剤について

パストリア水和剤
パストリア水和剤のパッケージ(※パストリア水和剤はサンケイ化学(株)の登録商標です。)

パストリア水和剤とは

パストリア水和剤は天敵微生物農薬に位置付けられ、サツマイモネコブセンチュウの天敵パスツーリア・ペネトランス菌を利用したものです。薬剤の有効成分は培養されたパスツーリア菌の胞子で、鉱物由来の粉末と界面活性剤等で構成さています。薬剤1gに菌の胞子が1.0×10の9乗個(10億個)含まれています。

パスツーリア・ペネトランス菌は絶対寄生菌と呼ばれ、サツマイモネコブセンチュウを専門に寄生して増殖する性質があり、他の生物には無害です。温度や水分状況に対する耐性があり胞子の状態で長期間(数年単位)生存できることから、有効期間が農薬に比べて非常に長い事も特徴です。

適用作物は野菜類、いも類、いちじくです。

作用の仕組みについて

パスツーリア菌は地中でセンチュウの幼虫に出会うと体に付着して寄生します。寄生されたセンチュウは一度植物の根に取り付きますが、体内でパスツーリア菌が増殖して、産卵できずに死滅します。また、多数の菌が幼虫に取り付いた場合は根に取り付く前に息絶えます。これらの結果、線虫密度が低下していき植物の根の被害が減る仕組みとなっています。

パスツーリア菌は新たな胞子を作って自己増殖していきます。即効性はありませんが、年数が2年、3年と経過するごとに菌の密度が高まって効果を発揮します。連作を行う農地とは特に相性が良いと言えます。散布時にセンチュウ密度が高すぎる場合は菌の増殖が追い付かないため、他の対策と併用すると効果が出やすくなります(クロルピクリン剤と蒸気消毒を除く)。

パストリア水和剤の効果的な使い方

使用方法は3通りあります。定植時の使用が基本で、いちじくでは栽培途中でも使用することができます。

  1. 土壌表面に散布し混和(野菜・いも/定植時、いちじく/定植時)
  2. 植穴土壌灌注(野菜・いも/定植時)
  3. 土壌表面に散布(いちじく/生育時)

使用量は、散布・混和の場合1~5kg/10a(1000平米)、植穴土壌灌注の場合0.5g/穴です。100g入りの製品であれば最大で100平米に撒くことができます。

パストリア水和剤は水に希釈して使用します。希釈と言っても成分が溶けるわけではなく、あくまで撒きやすいように水に拡散させて薄める事が目的です。粉末は水に溶けにくいですが、網目の細かいネットに入れて少しづつ混ぜると上手くいきます。私はネットショップで購入した際に、溶かしやすくするための水切りネットをおまけでつけてもらえました。菌は自力で動かないため、散布後に水を撒くと地中で拡散しやすくなります。メーカーの指定する方法に従って使用しましょう。

パストリア水和剤詳細[PDFファイル] / サンケイ化学株式会社

園芸分野への適用拡大に期待

ネコブセンチュウは多犯性で、野菜だけでなく草花や樹木にも寄生します。近年ブームである宿根草は永年作物と同等で、パストリア水和剤とは相性が良いように感じます。土壌に菌が定着して、センチュウ密度の低い状態で均衡を保つ事ができれば、長期的にセンチュウの被害を減らせるのではないでしょうか。現状は野菜・いも・いちじくが対象ですが、メーカーさんにはぜひ適用拡大に向けた研究・開発を進めていただきたいと思います。

値段は高いが長期的に見るとそうでもない?

パスツーリア菌はセンチュウの中でしか増えないため生産が難しく、価格が高いです。100gで3万円ほどと、他の薬剤に比べ非常に高価です。しかし、見方によっては一概に高いとは言えないと思います。効果が数年間に渡って有効であり、農薬代と作業に費やす人件費も含めたら総合的な金額差は縮まるのではないでしょうか。また、個人的には土壌の微生物群にパスツーリア菌が加わる事への安心感も感じています。

我が家でセンチュウ撲滅までにやった事

家庭菜園での野菜収穫
パストリア水和剤を使用後、キュウリやオクラが収穫できるようになった

ここからは私の菜園で実際に行った対策についての体験談です。パストリア水和剤に加えて、過去に行った対策の内容と効果の考察について試した順番にまとめています。

事前情報として、菜園スペースの大きさは約2.7m×2.0mの長方形で、面積は5.4平米です。土性は埴壌土(土性判定では練るとマッチ棒の太さになる・粘土分がやや多め)です。排水性は良いです。

堆肥をすき込む(2017年)

堆肥は土壌微生物のバランスを整え、センチュウが極端に増殖する事を防ぐと言われます。菜園スペースを作った直後、初回という事を踏まえて大量(5.4平米に対して60kg)の堆肥を混合しました。堆肥はバーク堆肥20kgと牛糞堆肥40kgで、混ぜたのは植え付けの2週間以上前です。事前に有機石灰も使用しました。しかし、土作りはそう簡単にできるはずはなく、いきなりネコブセンチュウの洗礼を受けることになりました。

センチュウ被害が発生したのは家庭菜園を始めたばかりの1作目からです。この時被害に遭ったのは小玉スイカ、オクラ、ミニトマトで全て根に多数のコブができました。私がネコブセンチュウの存在を知ったのはこの時です。菜園の前は雑草地ですが元々高い密度でセンチュウが潜んでいたと考えています。

以後も毎回の作付け前に全面的に堆肥を入れていましたが、被害は増えていきました。センチュウに対する直接的な殺虫作用は無く、翌年のキュウリ(前年はトマトの区画)では定植後1ヶ月で枯れる結果となったので、私の場合は効果ナシだと思います。但し、根本から土壌環境を整えるために継続して行っています。

化学農薬ネマトリンエース粒剤を散布(2018年)

ネマトリンエース粒剤はセンチュウ(移動する幼虫)が接触することで効果のある農薬です。植え付け前に粒剤を土に混ぜ込んで使用します。

畑の半分(前年はスイカの区画)を使ったナスの栽培時に使用しました。ナスの収穫はある程度できましたがコブの発生は多数見られ、撲滅とまではいきませんでした。製品の注意書きによると、混和が不均一だと効果不足となるようです。畑の半分だけに撒きましたが、残りの範囲からセンチュウの移動があったのかもしれません。

対抗植物マリーゴールドの栽培(2018年)

センチュウの増殖に適さない植物がいくつか知られていて、それらは対抗植物と呼ばれます。対抗植物を輪作体系に取り入れるとセンチュウ密度が低下し、次の作付けでの被害を減らす効果が期待できます。対抗植物の中でも有名なのがマリーゴールドです。

フレンチマリーゴールドの苗を10株ほど購入し、ナスの周囲に植え付けてみました。マリーゴールド自体は良く成長しましたが、ナスの根にはコブが見られ実感できるほどの効果はありませんでした。数が少なかったか、栽培期間が短かったのかもしれません。また、野菜の替わりに全面的に栽培しないと効果が出ないのではと思います。もし試される場合は、マリーゴールドだけで畑全面をカバーすることをおすすめします。

対抗植物ラッカセイの栽培(2019年)

センチュウの種類が不明でしたが、試しに全面的にサツマイモネコブセンチュウに有効なラッカセイを栽培してみました。すると被害が出ず順調に育ってくれました。この時点でセンチュウの種類はサツマイモネコブセンチュウであると予測を立てました(詳しくは後述)。収穫後は冬~春の作付けを休耕にしました。

パストリア水和剤の散布①(2020年)

最後のセンチュウ防除作業となったのがパストリア水和剤です。トウモロコシの定植時に菜園スペース全体を対象として、規定内の最大濃度(5kg/10a相当)で使用しました。定植後の苗はすくすくと育ち、ネコブセンチュウの被害に遭わず収穫を迎えることができました。この薬剤に即効性は無いはずなので前年のラッカセイとの相乗効果があったものと思います。

翌年(2021年)は、ミニトマトと以前収穫できずに枯れたキュウリをリベンジで栽培したところ、大きく成長して無事に収穫することができました。キュウリは特にネコブセンチュウに弱いので、被害が無かった事に驚きました。

2022年はトマトと同様に被害を受けやすいオクラを栽培しましたが、順調に育って大量に収穫できました。但し、一部の株で根に少量のコブを確認できました。成長・収穫量への影響は感じられませんでした。

パストリア水和剤の散布②(2023年)

前年に少量の根コブを確認したため、春先に、もう一度散布を行いました。2023年の春・夏にジャガイモ、ナス、ミニトマトを栽培したところ、根には全くコブが見られませんでした。

センチュウが好む作物を連続で作ると密度が高くなって被害が出るはずですが、現状としては増殖が抑えられているようです。ようやくネコブセンチュウを克服できたと言えるのではないでしょうか!

栽培履歴からセンチュウの種類を予測する方法

パストリア水和剤はサツマイモネコブセンチュウが対象となっており、事前にセンチュウの種類を判別する必要があります。種類を正確に知るにはセンチュウを分離して顕微鏡で見るか専門機関へ分析に出すしかないですが、家庭菜園では正直ハードルが高く感じました。私は小さな家庭菜園のために分析に出すのは気が引けたので、いくつかの作物を試して被害が出るかどうかによって絞り込みました。簡易的であれば栽培履歴から作物の種類と被害の有無で予測を立てる事ができます。

判定に使う主要なネコブセンチュウの寄生作物と対抗植物(作物)は以下の通りです。

センチュウの種類寄生作物対抗植物(野菜のみ一部抜粋)
サツマイモネコブセンチュウトマト、スイカ、他多数イチゴ、ラッカセイ
キタネコブセンチュウトマト、イチゴ、ラッカセイ、他多数スイカ
アレナリアネコブセンチュウトマト、スイカ、ラッカセイ、他多数イチゴ
ネコブセンチュウの種類と被害作物及び対抗植物抜粋

表のセンチュウ3種の判別であれば、対抗植物となるスイカ、ラッカセイ、イチゴを植えてみて、被害状況の有無で絞り込むことができます。但しネコブセンチュウは上記以外にも種類があるので、確定ではなく推測です。また、同時に複数種のセンチュウがいる場合も除外します。四国、九州、沖縄ではジャワネコブセンチュウも考慮する必要があります。

次に、私が畑で栽培した作物とセンチュウ被害の有無は以下の通りです。パストリア水和剤を使う前の内容だけ記載します。ここで注目すべきはスイカとラッカセイです。

作物の種類被害症状
小玉スイカ収穫直前に葉が萎れ出し、全体が枯死。根には多数のコブが発生。
オクラ定植後、ほとんど成長せず実が付かなかった。根には多数のコブが発生。
トマト成長して収穫はできたが、根には多数のコブが発生。
玉ねぎ無?被害なし。主な栽培期間が低温期であるため?
リーフレタス直まきで発芽後、大半が途中で生育停止。根にはコブが発生。
キュウリ1m程まで成長したら急に葉が萎れて枯死。根には多数のコブが発生。
ナス、白ナス成長して収穫はできたが、根には多数のコブが発生。
ラッカセイセンチュウの被害なし。
私の菜園で確認したネコブセンチュウによる被害内容

栽培履歴から考えてみると、私の菜園の場合、まずスイカで根にコブが発生したので、キタネコブセンチュウは候補から外れました。次に、ラッカセイで根にコブが無かったので、アレナリアネコブセンチュウも除外となります。結果、該当する種類はサツマイモネコブセンチュウと推測しました。表に整理すると以下のようになります。

センチュウの種類スイカラッカセイイチゴ
サツマイモネコブセンチュウ
キタネコブセンチュウ
アレナリアネコブセンチュウ
対抗植物から簡易的に判断した例(〇:被害なし、✕:被害あり)

なお、ラッカセイは根粒菌の働きで根に粒状の塊ができます。センチュウではないので間違えないようにして下さい。

このような感じで推測してみるのもセンチュウの種類を知る手がかりになります。家庭菜園でセンチュウ被害に悩んでいる方は、もし興味があれば試してみて下さい。なお、事業として農業を行っている方には専門機関等による分析をおすすめします。

パストリア水和剤は本当に効果あり

ここまでネコブセンチュウ対策とパストリア水和剤、対抗植物を使った判別方法等について解説しました。最後にポイントになる部分を整理します。

  • パストリア水和剤は即効性が無いが、長期的に有効。
  • 使ってみて実際にセンチュウ密度の抑制に効果があった。
  • 他の対策との併用で効果がアップする。
  • 薬剤はセンチュウの種類を判別してから使用する方が良い。

ここまで読んでいただきありがとうございました。皆様のネコブセンチュウ被害が少しでも減る事を願っております。

参考文献

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