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挿し木・挿し芽の方法と成功率を上げるコツ

庭の手入れ

植物を増やす方法はいろいろありますが、良く行われているのは挿し木です。実際やってみた方、上手くいきましたか?コツを押さえないと根が出ずに枯れてしまう事も多いです。この記事はこんな方におすすめです。

  • 挿し木の方法や手順を知りたい。
  • 挿し木のコツを知りたい。
  • 失敗してしまい、次こそ成功させたい

挿し木はコツさえ掴めば誰でも簡単にできます。苗を自分で作ることができればガーデニングの幅が広がりますよ!

この記事では挿し木(挿し芽)の手順と上手くいくコツ、応用技について解説します。

挿し木の基本

  • 挿し木とは
  • 挿し木の良いところ

挿し木とは

枝から根が生えた様子
発根したヤマアジサイ

挿し木は、文字通り枝を土に挿して根を出させる手法で、栄養繁殖による増殖方法のひとつです。

樹木の枝を使う場合と、草本(草花)の茎を使う場合で、それぞれ挿し木、挿し芽と呼び方が変わりますが、やることは基本的に同じです。

枝や茎から根が出るのは不思議に思えますが、植物は状況に合わせて必要な細胞を必要な場所で分裂させることができるため、茎の細胞の一部を再分裂させることで根が生えてきます。この根は不定根と呼びます。ちなみに根しかない状態から芽を出させることもできます。

挿し木の良いところ

挿し木で増やした株は親木の分身(クローン)であるため、同じ性質を受け継ぎます。また、増やすだけでなく、親株の若返りや仕立て直しにも有効です。

その他、種から育てるより成長が早いといった利点があります。

剪定やピンチ(摘芯)した枝も使えるため、お手入れのついでに増やすこともできます。

挿し木の手順

挿し木は植物の種類によって難易度が異なりますが、簡単な種類は以下の手順を押さえるだけでも上手くいきます。

  1. 挿し穂の採取
  2. 挿し穂の下処理
  3. 挿し床を準備
  4. 挿し床へ挿す
  5. 適した置き場所へ
  6. 発根までの管理

1.挿し穂の採取

挿し木用に切ったヤマアジサイの枝
ヤマアジサイの挿し穂

挿し穂に向いているのは、去年か今年に伸びた枝です。今年伸びた枝を使った挿し木は当年枝挿し(緑枝挿し)、昨年までの枝の場合は前年枝挿しと呼びます。

枝を採る時は、病気が出ていない、元気に育って充実している枝を選びます。新芽に近い柔らかい部分は未熟すぎて向いていませんので避けましょう。また、古い枝は年数が立つほど発根しにくい傾向があります。若すぎず、古すぎない枝を枝びましょう。徒長し過ぎた枝も不向きです。

根は切り口や茎からも出ますが、葉の付け根の節から出やすいです。挿し穂は2~3節以上ある長さで用意すると良いです。

挿す直前に茎を切り戻すため、長めの状態で採取しておきます。

2.挿し穂の下処理

下処理したヤマアジサイの挿し穂
挿し木するために下処理中の挿し穂

まず、土に埋まる部分の葉を無くします。地中に埋まった葉は腐って雑菌が繁殖しやすくなるため、あらかじめ取り除きます。

残りの葉は、蒸散量を減らすために半分~1/3くらいの大きさにカットします。葉が小さい植物や乾燥に強い植物の場合は切らなくても大丈夫です。

葉の処理が終わったら水を入れたビン等で水揚げします。ちなみに挿し床を先に準備しておき、採取から挿すまでの時間が数分なら水揚げしなくても大丈夫です。

3.挿し床を準備

赤玉土を入れた鉢
挿し床(赤玉土)

挿し床は、鉢と清潔な土を用意します。

使う鉢は、プラ鉢、ビニールポット、横長のプランター等、挿す量に合わせて用意します。素焼き鉢も使えなくはないのですが、乾きやすいので水切れに注意が必要になります。

使う土は、市販の挿し木用土の他、赤玉土、鹿沼土、バーミキュライト、川砂、水苔等が向いています。培養土は、使えないわけではないですが、腐葉土などの有機分が含まれていて、雑菌が繁殖しやすいため向いていません。発根まで時間がかかる樹木類には使わない方が良いです。赤玉土は粒が大きいと乾燥が早くなるので、水切れに注意が必要です。

鉢に用土を入れたら、一度水をたっぷりかけて、十分に湿らせておきます。

4.挿し床へ挿す

土に挿し穂を挿す様子
土にヤマアジサイの挿し穂を挿す様子。下穴を空けると茎が傷つきにくい。

それでは、いよいよ挿していきます。水揚げの終わった挿し穂は、1節以上が埋まる深さを見越して、切り口が斜めになるよう切り戻します。斜めに切ることで断面積が広くなり、水の吸い上げが良くなります。

また、切る際は水中で切る水切りを行うと良いです。水切りは切り花で一般的な方法です。

挿すときは、割りばし等で下穴をあけてから挿します。これは土に挿すときに切り口がつぶれないようにするためです。切り口を傷つけると、水の吸い上げが悪くなりますので注意しましょう。

穴に挿したら、周囲の土を軽く押さえて固定させれば完了です。

5.適した置き場所へ

挿し木作業後の置き場所
発根するまで直射日光の当たらない明るい日陰で管理する

最適な置き場所は、雨の当たらない軒下等で、明るい日陰の所が向いています。

雨は空気中の雑菌や汚れが含まれ、清潔ではないので避けた方が無難です。

挿し穂は、枝の中の養分と、光合成で得た養分を使って新たな根の細胞を作ります。ある程度は明るさのある場所に置きましょう。但し、直射日光は強すぎて、蒸散が多くなって萎えてしまうので避けます。

風通しについては、風当たりの強い場所は避け、ゆるやかに風の通る場所に置きます。締め切った室内に置く場合は、カビが出やすくなりますので、換気やサーキュレーターを使う等の工夫をしましょう。

6.発根までの管理

挿し終わった後は、水を切らさない、かつ腐敗させないように管理します。

発根までの期間は、草花で2週間、樹木で1か月~半年程度かかります。用土が乾かないように水やりを行い、根が十分に出るまで、水分の吸い上げが葉からの蒸散に追いつくようにしましょう。

鉢の底から根が見えるくらいになったら、植え付けましょう。

挿し木を成功させるコツ

挿し木の成功率を上げるにはいくつかポイントがあります。

  • 最適な時期に行う
  • 発根促進剤を使う
  • 植物の品種の選択

最適な時期に行う

挿し木の適期の一覧表
分類別に見た挿し木の適期一覧表

剪定や植え付けでもそうですが、適期に行うことが重要です。

挿し木に適した時期は、常緑樹は3月、6~7月、9月、落葉樹は2~3月、6~7月、針葉樹は2~3月、6月、草花と熱帯植物は5~7月、9~10月です。植物の生長に適した20度くらいの時期が良く、湿度の高い梅雨がベストシーズンです。特に、寒さに弱い種類は、冬越しまでに多く根を出させたいので、秋より梅雨に挿した方が良いです。

暑い時期は蒸散が多くなり、更に雑菌が繁殖しやすいので不向きです。また、冬は成長が停止する時期で、根が出ないまま枝の水分と養分を消耗するので不向きとなります。

発根促進剤を使う

ルートンをまぶした挿し穂
ルートンをまぶした挿し穂

科学的に発根を促す手段もあり、発根促進剤という薬品が販売されています。

発根促進剤で市販されているものにはルートン、オキシベロンがあり、どちらも根の生長を促進させるホルモン剤です。含まれる成分は異なり、ルートンは草花向け、オキシベロンは樹木向けと言われています。また、ルートンは粉末をまぶす、オキシベロンは希釈して挿し穂を浸すというように使い方も異なります。

植物の品種の選択

元々の性質として挿し木が難しい植物もあります。事前に難易度を調べて、慣れるまでは難しい種類を選ばない方が無難です。ですが、中には品種を選べば、挿し木の成功率が上がる植物も存在します。

例えば、ウメ、マツは挿し木の活着率が非常に低いですが、ウメの難波性系統、マツの瑞祥(五葉松の一品種)は比較的成功しやすいと言われています。

応用技

最後に、ちょっと変わった挿し木の方法をご紹介します。

  • 難物には「密閉挿し」
  • 荒技「路地挿し」

難物には「密閉挿し」

蒸散を抑える手段として、鉢にビニール袋を被せる方法があります。袋の中が高湿度に保たれるので、挿し穂が萎えにくくなります。長期戦となる難易度の高い種類で、乾燥する時期の対策に有効です。

注意点としては、初夏から夏場は蒸れやすいため外した方が安全です。高温期はカビに負けることもあります。

また、密閉といっても、空気穴は空けておきます。完全な密閉ではなく、通気の加減が難しいです。

荒技「路地挿し」

路地挿しで根付いたヤマアジサイ
路地挿しで根付いたヤマアジサイ
路地挿しで根付いたラベンダー
路地挿しで根付いたラベンダー

発根しやすい種類であれば、地面に直接挿すだけでも根づきます。

成功のコツは梅雨入り直後に行う事です。雨がよく降り、湿度の高いシーズンなので、水やりを自然に任せても上手くいきます。

野菜だと、サツマイモの植え付けは茎を畑に埋めますが、これは路地挿しの一種と言えます。

まとめ

この記事では挿し木の方法・手順と応用技をご紹介しました。コツを押さえてぜひ挑戦してみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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