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アスチルベの栽培レポートと栽培している品種・自生環境の紹介

アスチルベ‘アメジスト’の花 栽培レポート

アスチルベについて、栽培事例をご紹介します。私の場合の育て方や、四季の様子、育てた感想等をまとめます。これから育てたい方や、既に育てている方の参考になれば幸いです。

アスチルベは日陰でも花が咲く貴重な宿根草です。栽培のポイントは夏の強光と土の乾燥を防ぐ事です。湿った土を好むので、夏の水切れに注意しましょう。

アスチルベの特徴

薄いピンクのアスチルベの花
(6月上旬 自宅の庭)開花期を迎えたアスチルベ

アスチルベは梅雨時にホワホワとした花を咲かせる宿根草です。非常に細かい花が多数集まって咲き、遠くからでも目立ちます。葉は数回に分かれる複葉型です。

名前の語呂から「明日散るべ」を連想するかもしれませんが、花期が短いわけではなく、これは属名「Astilbe」が名称として呼ばれている事に由来します。販売されているのは、ヨーロッパを中心に育種された園芸品種です。日本に自生する原種のチダケサシ(Astilbe microphylla)やアワモリショウマ(Astilbe japonica)、アカショウマ(Astilbe thunbergii var. thunbergii)、中国に自生するアスチルベ・シネンシス(Astilbe chinensis)といった複数の種が元になっています。このレポートでは園芸品種のアレンジー種(Astillbe ×arendsii)を扱っています。

基本データ
学 名Astillbe ×arendsii
分 類ユキノシタ科 チダケサシ(アスチルベ)属
形 態多年草(冬季落葉)
原産地東アジア(日本、中国、朝鮮半島)、北アメリカ
大きさ高さ20~80cm、幅30~40cm
開花期5~7月
花 色ピンク、白、赤、紫
日 照半日陰~日陰
水 分湿潤
耐寒性
耐暑性
増やし方株分け
用 途庭植え、鉢植え、草物盆栽
アスチルベの基本データ

わたしの育て方

アスチルベの植栽風景
(6月中旬)植え付け場所の様子。複数の品種をまとめて栽培している。

私の庭では2016年~2021年にかけて育て始め、現在は4品種あります。花付きは良く毎年花を咲かせています。花の高さは品種により差があり、40~80cm程度まで育ちます。一番最初に植えた品種は生育が衰えて、5年目に枯れてしまいました。

栽培環境

落葉樹の木漏れ日が当たる半日陰に地植えにしています。夏は直射日光が長く当たると葉が痛みます。

導入当初は日当たりに植え付けていましたが、毎年のように水切れするので、強い光を避け、水の乾きにくい半日陰に移動しました。移動後は順調に育っていて、適地に植える事の大切さを改めて実感しました。

土は水はけと保水性の良い土壌を好みます。植え付け時は、保水性を高めるためにバーク堆肥を混ぜ込み、毎年堆肥を撒いて有機物を補給しています。

水やり

乾燥がかなり苦手で、庭にある草花の中で一番最初に水切れします。乾燥すると葉がチリチリになって弱ってしまい、慌てて水をあげても回復しにくいです。地植えでも、夏場で地面が乾く時は2~3日に一回水やりをしています。乾燥防止のため、年に一度、剪定枝をチップにしてマルチングを行っています。

肥料

春に緩効性肥料を適量与えています。

病気・害虫

花茎が伸びた頃、蕾にアブラムシがつきます。アスチルベの蕾は見た目が小さなツブツブなので、同様に小さいアブラムシは気にかけていないと見逃しやすいです。

お手入れ

株が込み合ってきたら株分けを行います。私はまだ分けるほど増えていません。花後は種ができるので、花茎の切り戻しを行います。冬は地上部が枯れるので、枯葉を取り除きます。

四季の生育状況

春の様子(3~5月)

アスチルベの若葉
(5月上旬)蕾が見え始めたアスチルベ‘シスターテレサ’。周囲の紫の花はゲラニウム‘ビルウォーリス’

4月上旬、地温が上がってくると新芽が動き出し葉が茂ってきます。5月には花茎が伸び始めて蕾が見えてきます。花茎はこの後長く立ち上がっていきます。

夏の様子(6~8月)

アスチルベの咲き始めの花
(6月上旬)開花した‘シスターテレサ’。咲き始めの花色は淡いピンク。

6月に入ると開花期を迎え、6月下旬まで咲き続けます。花は下から上に向かって咲いていき、開花期間は1か月程度です。

アスチルベの咲き進んだ花
(6月下旬)終わりが近い‘シスターテレサ’。咲き進むと花色が濃くなった。

品種によっては、開花期の終盤は色が変化します。‘シスターテレサ’は色が濃くなりました。

アスチルベの実(種)
(7月中旬)アスチルベは粒状の実ができる

7月に入ると小さい実(種)がたくさんできます。株が体力を消耗するので、不要なら切り取っておいた方が良いです。花茎についた葉は光合成で養分を貯えるために残しておきます。梅雨明け以降は水切れに注意します。

秋の様子(9~11月)

秋が深まると葉が枯れ始めます。種が熟す時期に入ります。採取した種は冷蔵庫で保管しておき3月に撒きます。発芽率が低いのか、まだ芽が出た事はありません。

冬の様子(12~2月)

冬になると地上部は全て枯れます。植えた場所がわかりにくくなるので、誤って掘り返さないよう位置を覚えておきます。特に株分けを予定している場合は目印を残しておくと便利です。

寒さには強く霜が当たっても平気です。

育てた感想など

見た目と育てやすさ

決して派手な花ではありませんが、花と葉が繊細で独特の美しさがあります。ナチュラルな雰囲気もあって、他の植物とも馴染みます。

乾燥に弱いのが難点ですが、栽培困難という程ではありません。夏に水やりの手間をかけられれば維持できます。日陰の庭でも花が楽しめる貴重な宿根草です。

おすすめの使い方

日陰向きの植物で、シェードガーデンに向いています。ナチュラルガーデンにも合うと思います。白や薄いピンクの品種なら和風庭園でも馴染みます。品種を1~2種に絞って群落にするとセンス良く見せられます。葉の高さが低いため、前景~中景に植えると良いです。大型の品種は中景~後景向きです。

相性の良さそうな植物

半日陰を好む植物と合わせると良いでしょう。水を好む種類とは特に相性が良いです。

アジュガ、イカリソウ、クリスマスローズ、ティアレア、フウチソウ、ホスタ(ギボウシ)、ホタルブクロ、ヤブラン、ヤマアジサイ、リグラリアなど

関連情報

栽培している品種の紹介

庭では以下の品種を育てています。

  • ‘アメジスト’
  • ‘シスターテレサ’
  • ‘ミルク&ハニー’
  • ‘サンダー&ライトニング’

アスチルベ ‘アメジスト’

ピンクのアスチルベの花
アスチルベ ‘アメジスト’

2019年より栽培しています。花色は紫で、品種名は花色のイメージを上手く表していると思います。高さは50cm程になります。当初は日向に植えて枯れかけましたが、半日陰に移動したら調子を取り戻してくれました。

アスチルベ ‘シスターテレサ’

アスチルベ‘シスターテレサ’の花
アスチルベ ‘シスターテレサ’

2021年より栽培しています。花色はピンクです。咲き始めは淡いピンクで、咲き進むと濃くなります。高さは40cm程になります。花穂が複数立ち上がってボリューム感が出てきました。

アスチルベ ‘ミルク&ハニー’

アスチルベ‘ミルク&ハニー’の花
アスチルベ ‘ミルク&ハニー’

2020年より栽培しています。花色は薄いピンクで、優しい色合いです。高さは50cm程になります。‘アメジスト’と同様に当初は日向で育てていましたが、半日陰に移動しました。枯れる寸前からなんとか復活しました。

アスチルベ ‘サンダー&ライトニング’

アスチルベ‘サンダー&ライトニング’の花
アスチルベ ‘サンダー&ライトニング’

2021年より栽培しています。花色は濃いピンクで、葉が他の品種より明るい色です。高さは80cm程になり、育てている中では一番背が高くなります。なぜかこの品種だけ開花が2週間くらい遅れました。

原種の自生地を訪ねる

登山中にアスチルベの仲間に出会いました。自生地の環境から上手く栽培するコツを探ります。

チダケサシ

山に自生するチダケサシの花
(7月下旬)花を咲かせるチダケサシ
チダケサシの自生環境
周囲にはカラマツ林が広がる

奥多摩の雲取山に、原種の一種、チダケサシ(Astilbe microphylla)が自生していました。標高は1900m程度の地点で、環境は背の低い草やササが茂る日当りの良い草原です。周囲にはカラマツが生え、霧が出る場所に育つ地衣類のサルオガセも見られます。地形は斜面で、霧のおかげで極端に乾燥しない場所です。

原種の自生地から考えると、アスチルベは水はけと土壌水分を好み、高温が苦手なことに納得できます。栽培では山野草に近い育て方をしてあげると良さそうです。冷涼な土地では日向でも栽培できるのではないでしょうか。

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