シモツケ‘ゴールドフレーム’について、栽培事例をご紹介します。私の場合の育て方や、四季の様子、育てた感想等をまとめます。これから育てたい方や、既に育てている方の参考になれば幸いです。
シモツケ‘ゴールドフレーム’は葉色が綺麗な園芸品種で、春の芽吹き、初夏に咲くピンクの花、秋の紅葉まで楽しめる見どころの多い低木です。カラーリーフとして用いるのも良く、お庭をおしゃれに見せられます。私が育てている中でも得におすすめしたい植物です。
シモツケ‘ゴールドフレーム’の特徴
シモツケ類は高さが最大でも1~2mほどで、樹形はドーム型となって自然にまとまります。当年枝(その年に伸びた枝)に花が咲く性質で、剪定も難しくありません。扱いやすいサイズに納まり、剪定も簡単なため人気が出ています。
近年は黄金葉、斑入り、源平咲きなどの多くの園芸品種が出回っています。その中でも‘ゴールドフレーム’は図鑑に掲載される事もあり、黄金葉の園芸品種の中では良く出回っています。最大樹高は1mほどで、シモツケの中ではコンパクトな品種です。春の芽吹きは赤く染まり、黄色い葉、鮮やかな濃いピンクの小花、秋の紅葉という色彩の変化が素晴らしく、見ていて飽きない花木です。
名前の「シモツケ」は最初に発見された場所が下野(しもつけ:栃木県の旧名)であった事に由来します。原種は本州、四国、九州の山野に自生が見られます。日本の野生種が元になっているため、庭でも育てやすいです。
基本データ | |
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学 名 | Spiraea japonica ‘Goldflame’ |
分 類 | バラ科 シモツケ属 |
形 態 | 落葉低木(冬季落葉) |
原産地 | 日本 |
大きさ | 高さ50~100cm、幅50~120cm |
開花期 | 5~7月 |
花 色 | ピンク |
日 照 | 日当り |
水 分 | 普通 |
耐寒性 | 強 |
耐暑性 | 強 |
増やし方 | 挿し木 |
用 途 | 庭植え、鉢植え |
わたしの育て方
私の庭では2018年に3号ポット苗より育て始めました。最初はひょろひょろの苗でしたが、成長が早く、地植えにして2年ほどで低木らしくなりました。毎年剪定して高さは1m以内に維持しています。挿し木で増やして3株植えています。花も葉も綺麗で、庭には無くてはならない存在になっています。
栽培環境
シモツケは日当りと水はけの良い環境を好みます。
私は朝から午後3時頃まで日の当たる場所に地植えにしています。植え付け時は堆肥を混ぜて、排水性と保水性を改良しました。
水やり
よっぽど乾燥しない限り水やりはしていません。夏は気にして見ていますが、草花より根が深いためか、水切れした事はありません。
肥料
春に緩効性肥料を少量与えています。多肥は避けた方が良く、特に窒素分を多く与えすぎると花付きが悪くなるようです。
病気・害虫
アブラムシとハバチの幼虫がつく事があります。
アブラムシは5月頃に枝の新芽に集団となってつき汁を吸います。私はテントウムシに食べてもらうために放置しています。
ハバチはシモツケマルハバチという種類で、葉と花を食べるシモツケ特有の害虫です。幼虫は5~6月頃に現れ、大きさが2cm弱のイモムシ型です。薄緑色の体に白い点状の模様があります。体が少し透き通っていて、花を食べるとピンク色に見えます。成虫は黒いハチで、人を刺す事はありません。こちらはサシガメ類(肉食性カメムシの一種)に退治してもらっています。数が多すぎる場合はテデトール(手で取ーる)にて対処します。
肉食性の益虫を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お手入れ
花後の切り戻し(刈り込み)と、冬の剪定を行っています。花が散ってから早めに切り戻しをすると、小さいですが二番花が咲きます。太くなった枝を切る場合は冬の落葉期が適期です。
花後の切り戻しは必須の作業ではありませんが、メリットが二つあります。一つ目は二番花を楽しめる事、二つ目は葉色を長く楽しめる事です。黄金葉は夏が近づくと黄緑に近い色となりますが、切り戻しをすると再び黄色い葉が伸びてきます。
増やし方
増やす場合は挿し木を行います。適期は梅雨時で、良く固まった当年枝を長さ10~15cmに切って挿すと簡単に増やせます。枝の先端でも途中でも挿し穂として使えます。花がついている場合は取り除いておきます。
四季の生育状況
春の様子(3~5月)
3月後半、暖かくなると一斉に芽吹いてきます。春の動き出しは比較的早いです。新芽は赤く、若葉はオレンジ色となり、徐々に黄色に変わります。
5月に入ると枝の先端に蕾が見えてきます。この頃の葉色が一番鮮やかです。
蕾が見えてから2週間ほどすると、軸が伸びて蕾が膨らみます。開花まであと少しです。
蕾が開き出すと一気に満開に向かいます。開花のタイミングが揃うのでとても華やかです。
夏の様子(6~8月)
開花期間は3週間程度で、次第に色が褪せて白っぽくなります。私はこの段階で切り戻しを行います。
刈り込みバサミで花ガラごと丸く刈り込みました。生育期なので葉が残るようにしています。
切り戻しから一か月後の様子です。新芽が伸びて茂ってきました。二番花の蕾もでき始めています。
8月に入る頃、枝先に二番花が開花します。大きさは通常の花期に比べて小さくなります。この頃になると、葉はライムグリーンになります。周囲の植物よりは明るい色で、カラーリーフとしての存在感は残ります。
秋の様子(9~11月)
二番花も終わって葉のみになります。明るい葉色は健在です。
冬の様子(12~2月)
12月頃寒さに当たると葉が赤く色づきます。紅葉もこの樹木の見どころです。
真冬は落葉して枝だけが残った姿となります。剪定の適期で、3月上旬までに枝の整理を行います。シモツケは花芽を気にせず剪定できます。刈り込んで輪郭を整えるだけでも良いです。
育てた感想など
見た目と育てやすさ
花が綺麗なカラーリーフってそんなに多くないと思います。ここぞ!という場所に植えたい低木です。私はアプローチ沿いで目につきやすい所に植えています。
性質は丈夫で育てやすく、花も良く咲きます。害虫がつくことはありますが、それでもシモツケ‘ゴールドフレーム’は植えて良かったと思います。
おすすめの使い方
洋風のお庭や、ナチュラルガーデンに合います。低木で成長は早いです。植え込みの中景から後景に向いています。カラーリーフの特性を生かしてアクセント的な配置をすると効果的で、斑入りの植物やシルバーリーフも加えればおしゃれな庭の出来上がりです。
相性の良さそうな植物
洋風の草花・樹木と合わせるのがおすすめです。常緑で緑の濃い植物の隣に植えると黄金葉が冴えます。また青や青紫の花を合わせると葉色が補色関係(反対色でお互いの色を引き立て合う)となって効果的です。日向を好む植物を組み合わせましょう。
例:アガパンサス、アナベル、コルヌス・アルバ‘エレガンティシマ’、セントーレア・ギムノカルパなど
関連情報
改良元となった基本種のシモツケ(Spiraea japonica)
シモツケは丈夫なため、施設の緑地や公園にも良く植えられています。7月でも元気に花を咲かせていました。別名はキシモツケ(木下野)で、花の見た目が似ている草本のシモツケソウ(下野草)と区別する意味合いが込められています。高さは2mほどまで育ちます。基本種は控えめな印象で和風の庭園にも似合いますね。
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