この記事では、以下のような悩みにお答えします。
- 庭に水辺のビオトープを作りたいけど何だか難しそう。
- DIYでもできる?
- 防水シートって耐久性は大丈夫?
池を作る方法は色々とありますが、DIYで池を作るなら池用のゴム製シートを使うのがおすすめです。従来の池作りより簡単で耐久性もあり、私の庭では水漏れもなく5年が経過しました。この記事ではシートを使った池の作り方について写真と図を使って解説します。
構造と完成イメージ
構造について
基本構造は図のようになります。地面に穴を掘り、防水シートを保護するアンダーライナーと防水の役割のゴムシートを敷いて水を貯めます。
防水シートがむき出しだと人工的に見えるので、自然らしさを出すためにシートを隠す工夫をすると見栄えが良くなります。市販品ではシートに砂利が張り付けてあるストーンライナーという商品があります。私の場合は石を積んで仕上げました。
また、池の底に土を入れる方法もありますが、水中ポンプを使う場合は吸い込む事があるので小石の方が良いと思います。
完成イメージ
この記事を書く丁度5年前にシートで池を作りました。参考までに、完成時の様子と5年経過後の様子をお見せします。まずは作りたい池のイメージを膨らませましょう。
仕様を簡単にご説明します。水は雨水利用で、雨樋から埋設配管を通って直接供給されます。満水時のオーバーフローは浸透桝を設けて処理しています。水中ポンプで水を循環して小川も作っています。
これらの細かい話は本記事では割愛し、別の記事でご紹介します。
必要な材料と道具
主な材料
- 池専用のゴム製の防水シート(EPDMポンドライナー1mm厚を推奨)
- アンダーライナー
- 石(大小あると自然な仕上がりに)
- 小石や土(直径5cmくらいのゴロタが良い)
- 植物(お好みでOK)
必要な道具
- スコップ
- 移植ゴテ(微妙な調整に便利)
- 水平器(無くてもOK)
- 長めの角材と角杭(無くてもOK)
事前の計画と準備
何事も段取りが大事です。以下を参考に計画を立ててみましょう。
- 位置を決める
- 大きさと形を決める
- 深さを決める
- ラフで図面を書いてみる
- 材料を調達する
位置の考え方
まずはどこに池を作るか決めます。水生植物を育てる場合は5時間ほど日光が当たる場所にしましょう。ただし西日が当たる場所は高温になり、藻も発生しやすいので避けた方が良いです。
メンテナンスのために水を抜くこともあるので、排水できる場所との位置関係も大事です。敷地内にU字溝などがあればその近くにします。
大きさ・形の決め方
予定のスペースにメジャーを当てるなどして池全体の幅と奥行きを決めます。形は楕円やひょうたん型が定番です。お庭に合った好みの形を思い描いてみてください。棒などで地面に線を書いてみるとイメージがつかみやすいです。
岸に石を積む場合は石の厚み分だけ水面が狭くなります。後で困らないよう表面の仕上げ方法も先に考えておきましょう。
深さの決め方
次に深さがどれくらい必要か考えます。水深は金魚等を飼うなら浅いところで5cm、深場で30cm以上は欲しいところです。
岸に向かって緩やかに浅くなるように作ると自然らしさが出ます。また、浅瀬を作ると小鳥が水浴びする姿も観察できます。
ラフで図面を書いて、シートの大きさを決める
大きさと深さが決まったら、手書きやラフで良いので平面図を書き、次に縦横で見て幅と奥行きが最大になる場所の断面図を書きます。方眼紙を使うとスケール感覚がつかみやすくて便利です。小石を敷く場合は転がらないよう傾斜を緩くしましょう。
断面図が書けたら必要な防水シートの大きさを出してみます。斜面を考慮した長さを合計すれば、縦横の必要寸法が決まります。少し余裕をもったサイズにした方が現地調整が効きます。なお、シートは規格が決まっているので、入手可能なサイズを先に調べておくと良いです。(例:2×2m、3×4m等)
参考として、冒頭の写真の池は、平面的に見たシートの範囲が3.2×2.2mの楕円形で、4×3mの製品を使いました。
決まったら材料調達
内容が決まったら必要な材料を洗い出して購入しましょう。池用の防水シートは大型ホームセンターでも売っていなかったので私はネットで注文しました。
あとは、残土をどう処理するかも先に決めておきましょう。庭に散らして撒く、業者に引き取ってもらうなど。私の場合は池の背景に盛り土しました。
シートを使った池作りの流れ
準備ができたらいよいよ池作りスタートです。大まかには、以下の流れで進めます。
- 穴を掘る
- アンダーライナーを敷く
- ゴム製の防水シートを敷く
- オーバーフローを仕上げる
- 水を入れる
- 石や植物を配置して完成!
1.穴を掘る
池の出来上がりをイメージし、寸法や深さをチェックしながら掘っていきましょう。写真では簡易的な高さ・水平の目安として角杭を立てています。水平の基準を出しておくと水位の微妙な変化を調整しやすいです。本格的にやるなら池の外側に丁張りと水糸をかけましょう。
掘り終えたら、とがった石や木の根が飛び出ていないか最終チェックします。
2.アンダーライナーを敷く
アンダーライナーは地面の石でシートに穴が空かないように保護するクッションです。池の形に合わせて隙間がないように広げていきます。
ちなみに古い毛布で代用できなくもないです。その場合は腐らない素材にしましょう。
3.ゴム製の防水シートを敷く
アンダーライナーの上に防水シートを敷きます。シワができるのは問題ないですが、なるべく細かくして分散させると良いです。水を入れると引っ張られるので、少しだけたるんだ状態にします。
丸い池だとシートの四隅が余るので水を入れた後でカットし、端部は土手を作るようにしながら土に埋めます。土手は周囲の土が池に入るのを防ぐ役割です。高さは5~10cm程度で十分です。
4.オーバーフローを仕上げる
オーバーフローは大雨で池が溢れないように水を逃がす排水経路です。池の縁に一か所だけ低い所を作り、満水時にあふれ出るようにします(例1)。魚を飼う場合は網を設けて外に出ないようにします。
難易度は上がりますが、シートに塩ビ管を通すことも不可能ではないです。水位ギリギリの位置であれば万が一隙間から水漏れしても干上がることもありません(例2)。
水中での配管は止水がかなり難しいですが、後で水位を調整できるメリットがあります(例3)。生き物が入らないよう、メッシュ状になった塩ビ管用のゴミ受けも取り付けましょう。
5.水を入れる
水を入れて重みでシートを馴染ませます。満水の少し手前で止めて次の作業に入ります。
なお、私は注水を何度かにわけて、岸の石組みと注水の繰り返しで作業を進めました。満水にしてから水の底に石組みをするのが大変だからです。
6.石や植物を配置して完成!
お好みで池の周りを石で囲み、植物を植えましょう。鉢植えにした水生植物を入れても素敵です。
生き物を入れるのは水質や微生物の環境が落ち着くまで待った方が良く、2週間くらい経ってからにします。キンギョやフナは水質にもうるさくなくおすすめです。また、環境が馴染むとトンボや野鳥など様々な生き物がやってくるようになります。
注意点
- 水漏れを防ぐ
- 岸の石積みは崩れないようガッチリ組む
- 小さなお子様が遊ぶ時は大人が見守る
水漏れを防ぐ
水が漏れるとせっかくの池が台無しです。ゴムのシートは尖った物で突くと穴が空くので丁寧に扱いましょう。配管を通す事やシートの継ぎ足しもリスクがあるためなるべく避けます。
池専用のシートは薄手でも結構高価なので、破けて買い直すよりは厚手を選ぶほうが安心です。
岸の石積みは崩れないようガッチリ組む
石積みは積み方が甘いと崩れる場合があります。シート上での石積みは難易度が高めで、メーカーや販売元の説明書にない工法ですので、自己責任でお願いします。
チャレンジする場合はなるべく大きい石(直径30cm以上)を使い下段の石にがっちり噛ませながら積んでいきましょう。
小さなお子様が遊ぶ時は大人が見守る
小さなお子様がいる場合は、溺れる等の予期せぬ事故を防ぐために見守りましょう。また、シート池はどちらかと言えば鑑賞向きの池です。アクティブに遊ぶと穴が開いたり、壊れたりする可能性があります。お子様を遊ばせる事がメインであれば丈夫なコンクリート池や成形品のプラ池をおすすめします。
まとめ
この記事ではシートを使った池の作り方について解説しました。最後に要点をまとめます。
- 池の用途やメンテナンスを考えて位置や大きさを決める
- 自然らしさを出すにはシートを隠す工夫をする
- シートを敷く時は、水の重みで引っ張られるので少したるませる
- シートは穴が空かないよう丁寧に扱う
- 小さなお子様が池で遊ぶときは大人が見守る
ここまで読んでいただきありがとうございました。水辺のビオトープがあると心が癒されます。DIY中級者向けではありますが、興味が沸いた方はぜひ挑戦してみてください。
コメント