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ナチュラルに見せる!下草を使ったおしゃれな庭の作り方

庭づくり

庭の構成要素として、高木や中木は庭の骨格をつくりますが、骨格だけではナチュラルな庭とはなりません。下草をバランスよく配置することで、調和のとれた庭が出来上がり、その扱い方次第で庭のイメージが大きく変わります。

この記事では、造園業界の経験を踏まえて、庭に欠かせない下草を使うテクニックについて解説します。

下草の役割と使い方

まずは下草の重要性について、以下の順でご説明します

  1. 下草とは
  2. 自然の風景には下草がある
  3. 空間をつなげて馴染ませる効果がある

下草とは

ハウチワカエデの根本に植えられたリュウノヒゲ
ハウチワカエデやシャクナゲの根元に植えられたリュウノヒゲ。

下草とは庭での役割による呼び方で、樹木の下に植える草本類のことです。低木を用いる場合は下木と呼び、同様の役割で扱われます。

庭において樹木は空間の基本構成をつくりますが、下草は更に空間に変化をつけ、緑のボリューム感や色味を調整する役割があります。様々な種類があるため下草自体も見せ場にもなります。

自然の風景には下草がある

マルバダケブキとシダの群生
自然界における下草の風景。高木の下にマルバダケブキとシダの群落が広がっている。

自然の中では、樹木から低木、草本類まで様々な形態の植物が共存しているのが普通の景色です。草のもつ姿や線の柔らかさは樹木にはなく、自然の趣を演出するのに欠かせない存在と言えます。

空間をつなげて馴染ませる効果がある

池を囲む低木と草花
池の外周を囲む下草が空間をつなぐ。

樹木と樹木以外の構造物、例えば庭石や灯篭、園路、池、フェンス、ベンチ、ガーデンファニチャーとの間に配置することで、空間につながりが生まれます。庭全体を馴染ませることも役割の一つです。

下草を使うポイント

下草の使い方には、以下のポイントがあります。

  • 複数の種類を混植する
  • 庭のテイストを決めてから種類を選ぶ
  • 成長後の大きさを確認しておく
  • 成長タイプを把握しておく
  • 不等辺三角形を意識して配置する

複数の種類を混植する

草花とグラス類の混植
草花とグラス類を使用した混植。

自然風の庭では、単一の種類を密植して使うより、複数の種類を混植することでナチュラル感が出ます。それぞれの良さを生かしつつ、平面的な広がりと立体的なバランスを見ながら植え込みます。

また、均一に混ぜるのではなく、単体や小さなグループ単位でパッチワーク状に配置すると見た目が良くなります。

地盤が平坦でも下草・下木の高さを使い分ければ、起伏や山の景色を演出することもできます。

庭のテイストを決めてから種類を選ぶ

どのような風景を目指しているか決めてから、植物を選んだ方が、統一感のあるお庭になります。

自然の山、草原のお花畑、イングリッシュガーデンなど、テーマを絞ってイメージや環境に合った植物を選んでいきましょう。

成長後の大きさを確認しておく

植える時は小さなポット苗でも、種類によっては成長後に数十倍のボリュームになります。成長後の大きさを調べ、植え付け時は株間を確保するようにします。植えた当初はスカスカに感じるぐらいの方が丁度良いです。下草類は樹木より成長が早いので1~2年もあれば株間が埋まります。

成長タイプを把握しておく

混植には、株が勝手に広がりにくい植物を選んだ方が、レイアウトが維持しやすいです。

下草には地下茎や匍匐茎で横に広がる種類があります。これらはレイアウトが崩れやすいので、該当する種類は少な目にした方が管理が楽になります。横に広がるタイプは、混植よりも単一の種類で地面を覆うグランドカバーに向いています。

地下茎タイプの例
  • ドイツスズラン
  • ノコンギク
  • ハナトラノオ
  • フジバカマ
  • ホタルブクロ
  • ヤブコウジ
  • ユキノシタ
  • クサソテツ
  • ササ類
匍匐茎タイプの例
  • アジュガ
  • クラピア
  • クリーピングタイム
  • ダイカンドラ
  • ツルニチニチソウ(ビンカ)
  • ヘデラ(アイビー)
  • ミント類
  • ラミウム
  • リシマキア・ヌンムラリア

不等辺三角形を意識して配置する

不等辺三角形の植栽配置の図
植栽テクニックの一つ「不等辺三角形」

単体でもグループでも、不等辺三角形の配置が自然に見せるコツです。樹木の配置でも同様ですが、一直線上や規則的な配置からは自然らしさを感じにくいです。頭の中で不等辺三角形を描きながら配置してみましょう。

更に効果的な使い方

下草を使いこなすためには、更にワンランク上のテクニックがあります。

  • ガーデンファニチャーの背景は常緑で緑の美しい種類にする
  • 幹を見せる樹木の手前は背の低い下草にする
  • 派手過ぎない草花を主体にする
  • 花色と葉色で変化をつける
  • 葉の形と大きさによる対比効果を使う
  • 密植する際は、千鳥(ちどり)の配置で植え付ける

ガーデンファニチャーの背景は常緑で緑の美しい種類にする

ガーデンファニチャーは庭の中での注目ポイントです。背景を派手なカラーリーフ等にすると注目ポイントがブレてしまうため、緑の常緑樹など主張の激しすぎない植物が向いています。

幹を見せる樹木の手前は背の低い下草にする

幹肌の美しい樹木や、株立ちの樹木はその立ち姿が持ち味です。手前に背丈が大きくなる下草を配置すると、樹木が隠れて持ち味が半減してしまいます。手前は背の低い下草ですっきりと見せ、背景に濃い緑を配置すると幹を浮き立たせることができます。

派手過ぎない草花を主体にする

自然風の庭では、派手な色や大輪の改良品種は浮いて見える場合があります。

草花を使う場合は、原種系の種類や、小花の集まった花、淡い色の花を中心に組み合わせることにより風景がまとまります。

花色と葉色で変化をつける

紫と黄色の葉色を合わせた植栽
紫のヒューケラと黄金葉のアベリア、フィリフェラオーレアを合わせた植栽例。

樹木の花期は限られますが、花が咲く宿根草類を用いると春から秋まで季節の移ろいを演出ができます。花だけでなく、斑入りの植物をはじめとするリーフ類も効果的です。和風の場合は色物を多用すると風情が無くなるため、厳選してワンポイントにした方が良いでしょう。

葉の形と大きさによる対比効果を使う

下草には、細長い葉、大きな丸い葉、ギザギザした細かな葉など様々な葉のタイプがあります。見た目に差があるものを隣に配置することで、それぞれが引き立ち、変化に富んだ空間が生まれます。

密植する際は、千鳥(ちどり)の配置で植え付ける

ちどりの配置の図
植栽テクニックの一つ「千鳥植え」

グループで密植する場合、正面から見て格子状の配置ではなく、ずらしながら植える千鳥植えにより植え付けます。千鳥の配置は格子状の配置よりも自然に見えます。

造園職人の世界では日常的に行われている技術です。

まとめ

ここまで様々なテクニックをご紹介しました。最後に要点を整理します。

  • 下草は空間に深みを出し、下草自体も見せ場となる
  • 複数の種類を使い、不等辺三角形の配置を意識する
  • 地下茎タイプ、匍匐性タイプは少な目にする
  • 花色、葉色、形、大きさを組み合わせて対比効果を出す
  • まとめて密植する場合は千鳥植え

下草は庭づくりに欠かせない存在です。センスを磨いてワンランク上のお庭づくりを目指しましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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